私はとても気取った人間だと思う。どこからそんな悪い感情が湧いてくるのかもわからない。
半夏はそうじゃない。半夏は毎日とても楽しそうだ。
彼女は嬉しそうに外に出て世間を見る準備をしている。華やかな世界を見るために。
毎日私の荷物をまとめるときも、行ったり来たりしながら歌を口ずさんでいる。
「半夏、なんでそんなに楽しそうなの?」私はついに我慢できずに彼女に尋ねた。
私は恋愛小説を読んでいた。とても面白かったけど、それでも半夏の半径1キロメートルも感じられるほどの幸せの邪魔には勝てなかった。
半夏は私の水色の長いドレスをスーツケースに入れながら、顔を向けて私を見た。満面の喜びで「そうですね、お嬢様、それであなたはなぜ楽しくないのですか?」
私は首を振った。「だって何が楽しいのかわからないから」
半夏は続けて私の服をたたんで入れながら、声に喜びを含ませて言った。「私の良いお嬢様、人が生きていくのは簡単なことではありませんよ。せっかく生き延びたのだから、なぜ毎日を楽しく過ごさないのですか?」
私は彼女を見て、反論のしようがないことに気づいた。
半夏は背筋を伸ばし、短い髪を耳の後ろに押しやり、表情を少し引き締めて、慎重に言った。「お嬢様、記憶がなければないでいいじゃないですか。記憶がないからといつも不幸せでいるべきではありません。以前はなかったけど、これからあればいいんです。いつも過去のことで不幸せでいるのは、今を無駄にしているだけじゃないですか?」
彼女の真剣で慎重な様子を見て、私も思わず笑顔になり、うなずいた。「あなたの言うことはもっともだわ」
半夏の目はすぐに輝いた。「お嬢様、私は記憶がないのはとても良いことだと思うんです。私の過去を見てください、苦しい生活でした。私はその苦しみをすべて忘れて、今を楽しく生きたいと思っています。だからあなたが羨ましいんです」
この子は、いつも3秒と経たないうちに本性を現す。
私は思わず彼女をからかった。「過去の苦しみを覚えているからこそ、今こんなに喜んでいるんじゃないの?」
半夏は考え込んで、顔を曇らせた。「そう、本当にそうかもしれませんね!」