やっと興奮した半夏をなだめて、送り出して、ようやく一息つくことができた。
パソコンを手に取り、作業を始めた。
まず別荘の監視システムに侵入して一通り確認し、メインコントロール部分を見つけた。
監視システムはかなり古く、牧野森とデイジーがこういったものに詳しくないことがわかる。設備はおそらく私の両親の時代に残されたものだろう。
平野晴人は腕力は高いが、パソコン関連は半夏と同レベルだろう。彼は別荘のセキュリティを担当しているが、ネットワーク監視については特に力を入れていないようだ。
ノックの音がして、画面を切り替えた。
デイジーが薄い色のスーツを着た男性を連れてきた。私は少し驚いた。この人は前に来た医者ではない。
デイジーが言った。「お嬢様、うちのかかりつけ医が交通事故に遭ったので、今日は彼の同僚に代わりに診察してもらいます」
私の心は沈んだ。前回の医者は通常の検査をして血液を採取したが、結果はまだ出ていないのに、なぜ今日は医者が変わったのだろう?
その医者が近づいてきて、非常に親しげな笑顔を見せた——まるで昔からの知り合いのように。私は戸惑った。
私たちは知り合い?
「南野星、会えて嬉しいよ!」医者が口を開いた。
私は固まって彼を見つめた。
彼は手に持っていた医療バッグを置き、ベッドの前の椅子に座った。「私は林詩乃だ。以前、高校三年生の時に家庭教師をしていたんだ。だから、君は半分私の弟子だよ!」
彼が自己紹介すると、私は呆然とした。
デイジーはさらに驚いた様子で「林、林先生?」
彼女は振り返って私を見た。「お嬢様?」
私は林詩乃先生を見た。「私、あなたを知っているの?」
林詩乃は肩をすくめた。「そう、君がまだ小さな女の子だった頃から知っているよ」
彼は私の左手を指さした。「勉強を覚えられなかった時、私は定規で君の手を叩いたことがある。記憶喪失になったのは良かったよ。ずっと恨まれているんじゃないかと心配していたんだ!」
私は思わず左手を広げて見てみた。
彼は大笑いした。「まだそんなにぼんやりしているの?何年も経っているのに、傷が残っているわけないじゃないか?」
彼の笑顔は明るく透き通っていて、心まで照らすようだった。
「どうすれば昔のことを思い出せるの?」私は思わず彼に尋ねた。