私は突然尋ねた。「なぜあの加藤律が七魔の一人だと疑うの?」
平野晴人は考え込んだ。「彼の素性が調べられないからだ。しかも、彼は加藤律と名乗っている。七旦那様もその名前だった。」
「それは同じ名前の別人じゃないの?」私はこの名前が少し気に入っていた。
加藤律、南野星、どちらも薬の名前。加藤律は解毒作用があり、南野星は毒がある。面白い!
そう思うと、思わず笑みがこぼれた。ただ、窓の外を見ていたので、平野晴人には気づかれなかった。
平野晴人はそっとため息をついた。「彼らの伝説的な話はいくつか聞いたことがあるが、本人に会ったことはない。若くして亡くなったのは、本当に残念だ。」
平野晴人は二十代前半、三十歳にもなっていない年齢だ。叔父の年齢を考えると、それは前の世代の話だろう。平野晴人が知らないのも当然だ。