第556章 お披露目

副首相官邸と首相官邸は南北に位置し、まるで鼎立しているかのようだった。

私は半夏を連れて、正装で出席した。

平野晴人と海狼の五番目が私たちの警備と運転を担当していた。

牧野森とデイジーの言葉によれば、これは私が初めて人前に姿を現す機会であり、軽く見られてはならないとのことだった。

私は操り人形のように、彼らの言うことに従い、完全に指示通りに行動した。

現場に着くと、私はようやく気持ちが落ち着いた。

牧野森とデイジーは確かに地元の人間で、十分な準備もしており、この地の風習をよく理解していた。

見渡すと、宝石や豪華な装飾品の輝きで溢れていた。

もし平野晴人に人を連れてきて強盗をさせたら、きっと大収穫になるだろうと思った。この小さな島国がこれほど豊かだとは、本当に予想外だった。

私の到着は、会場にいる全ての人の視線を集めた。

デイジーが言っていたように、南野家はこの島では神秘的な存在で、私の父はこの島国建国の功労者であり、その高貴な地位は揺るぎないものだった。

首相が何度も交代しても、南野家の地位は依然として健在だった。

南野家の主人が長年島にいなくても変わらなかった。

私は父と母に心から敬服していた。

副首相の夫人が自ら出迎えに来て、私は彼女の目に明らかな驚きを見た。

「南野さん、ようやくお会いできて、本当に光栄です！」彼女は熱心に私の手を取った。

私は礼儀正しく挨拶し、半夏に用意していた贈り物を夫人の側にいる執事に渡すよう指示した。「南野星が初めて訪問させていただきました。どうぞこの小さな心ばかりの品をお受け取りください。」

執事はそれを受け取って開け、驚いた表情で副首相夫人に渡した。彼女は一瞬驚いた後、さらに笑顔を深めた。「南野さん、本当にお気遣いありがとうございます。」

私は微笑んで言った。「もしよろしければ、南野星と呼んでください。」

夫人の笑顔はさらに深まり、私の手を取ると、すっかり打ち解けた様子だった。「南野星！私の名前は井上雲です。雲おばさんと呼んでくれませんか？」

「雲おばさん。」私はすんなりと応じた。

「ああ、南野星、いい子ね、雲おばさんは本当に嬉しいわ。」井上雲は華やかに笑った。

私は目を伏せて微笑んだ。