第578章 中毒

麦田絵麻は誇らしげで得意げな表情を浮かべていて、その表情は本当に複雑だった。

加藤真凜は顔を赤らめて黙っていた。

私はとっくに分かっていた。真凜は外見は柔らかいが内面は強い女の子で、絵麻は表面は強そうに見えるが、実は心の優しい子だということを。

私は地球を救ったことでもあるのだろうか、どうしてこんなに素晴らしい友達を二人も得ることができたのだろう？

真凜は絵麻にからかわれたくなくて、強引に話題を変えた。「平野由奈と月島糸は不幸な関係なの。何年も経っているけど、一緒にいられないし、別れることもできない。去年、由奈はそのことで死をもって脅し、自殺未遂で入院したわ。両家は糸に頭を下げるよう迫って、糸は腹を立ててこんな辺鄙な場所に逃げてきたの。私たちの中では、糸が一番最初にここに来たのよ。その後、由奈が追いかけてきた。目的はただ一つ、糸と結婚して名分を得ること。彼女のような状態では、他の人と結婚することもできないでしょう。これまでの年月で体面も何もかも失ってしまったから。由奈の性格では、彼女が他の人と結婚できないなら、糸も他の人と結婚させないつもりよ。」

私は目から鱗が落ちた。「なるほど、だから彼女が私を敵のように見るのね。私が彼女のライバルだったのか！」

絵麻は私を叩いた。「何のライバルよ、どこにライバルがいるの？あなたと糸の間には何もないじゃない。そんな風に考えたら、加藤律にライバルを作ることになるわよ？」

私は唇を噛んで笑った。「どうしてそんなに彼をかばうの？彼はライバルがいても怖くないでしょ！」

真凜は急いで言った。「怖いわよ、怖い、もちろん怖いわ。知らないでしょうけど、七郎おじさんが記憶を取り戻した後、糸があなたのために刃を受けて命を救ったことを知って、七郎おじさんはすごく悩んだの。恩を仇で返すこともできないから、いとこを懲らしめたのよ。」

私は彼女が加藤蓮のことを言っているのを知っていた。加藤律はすでに私に話していた。

絵麻は言った。「律はただ心優しいだけよ。私だったら、そんなこと気にしないわ。糸は自分の意志でやったことでしょ？誰が彼を強制したの？ふん！」

私と真凜は言葉もなく絵麻を見つめた。

絵麻は手を振った。「あら、もういいわよ、私はただ言っただけよ。彼がいつも私たちの南野星につきまとって、まるで祟りみたいなんだから！」