第588章 保護

私の心は思わず高鳴り、彼と一緒に飛び出したくなった。

麦田絵麻と加藤真凜が急いで私を引き止めた。「何をするの!」

「加藤律——」私は一瞬固まった。私は、加藤律を守りたかったのだ。

麦田絵麻が私の肩を叩いた。「心配しないで、彼らは大丈夫よ。あなたが出て行ったら、彼らの気が散るわ」

加藤真凜がうなずいた。

彼らはとても冷静だった。

私は自分の心の中の思いに震えていた。

私が加藤律を守りたいなんて?

なぜそんな考えが浮かぶの?本来なら彼が私を守るべきなのに?

「加藤律は?以前はダメだったの?」私は躊躇いながら二人に尋ねた。

二人とも一瞬固まった。加藤真凜が手を伸ばして私の髪を整えてくれた。「南野星、あなたは小さい頃から七郎おじさんを守ってきたのよ。いつも彼が損をしないか、いじめられないかと心配していた。彼を狙う女性たちは皆、彼が頼りになる人で、自分たちに安心感を与え、守ってくれる人だと思っていたけど、あなただけは違った。あなたはいつも彼が損をしないか、いじめられないかと心配して、いつも先頭に立って彼を守っていた。七郎おじさんはこの何年も、あなたたち二人の思い出を振り返るたびに、胸が張り裂けそうになるのよ」

「彼はこう言っていたわ。もう一度チャンスがあれば、必ず南野星を最も安全な場所に置いて、誰も彼女に手を出せないようにすると。あなたたち二人はずっとそうだったのよ。お互いのためなら、自分を犠牲にすることさえできる」

私はその言葉に呆然とした。

私は、そんなに良い人だったの?

外からの銃声がさらに激しくなり、私の心臓は喉元まで上がってきていた。

私は思わず外を見ようとした。

麦田絵麻が耳を傾けて聞いていた。「なんだか、二つのグループがいるみたいね?」

加藤真凜の目が輝いた。「きっと私たちの仲間が来たのよ」

麦田絵麻がうなずいた。「こんなに近くなら、死人でも駆けつけられるわ」

彼女が言っているのは高橋隆たちのことだとわかった。

「でも彼らには私たちが危険な目に遭っているなんてわからないはずよ!」私は無意識に彼らを弁護していた。

加藤真凜が私の肩を叩いた。「南野星、あなたはやっぱり昔と同じね。まるで全員を翼の下で守りたがるみたい」

そうなの?

私はそんな人間なの?

銃声はこの短い時間の間にだんだんと収まっていった。