第594章 逮捕

半夏の顔色が一気に青ざめた。「でたらめを言わないで！」

白川浅里は淡々と微笑んだ。「私がでたらめを言っているかどうか、あなたは心の中でわかっているでしょう。はっきり答えなさい、この部屋に戻って住むかどうか？」

半夏は歯を食いしばり、頭を振って立ち去った。「お嬢様を探しに行きます！」

私は非常口の後ろに身を隠し、半夏が怒りに任せて階段を駆け下りていくのを見た。

私が出てくると、白川浅里と白川晴は笑った。「全部聞いていたの？」

私はうなずいた。彼女たちの耳は普通の人よりも敏感だ。

「彼女が本当に焦っているのかどうか、夜に海辺に行くかどうか分からないわ」と白川晴は少し心配そうだった。

私はあわてなかった。「大丈夫、今日ダメなら明日また仕掛ければいい。彼女は二心を抱いている以上、遅かれ早かれ行動するはず。彼女が焦らなくても、誰かが焦るはずだから」

白川浅里はうなずいた。「その通り。彼女はそれほど深謀遠慮のタイプには見えないし、そんなに我慢強くもないでしょう」

私は微笑んで何も言わなかった。

今は良い知らせを静かに待つだけだ。

真夜中、うとうとしていた私は白川浅里に起こされた。

「南野星、起きて、捕まえたわ」白川浅里は私を驚かせないように、優しく揺さぶった。

私はハッと目を覚ました。頭の中で何かが潮のように引いていくような感覚があり、痛みで「あっ」と声を上げた。

「南野星？どうしたの？」白川浅里は驚いた様子だった。

私は無意識に頭を押さえた。「大丈夫、たぶん、急に起きたからだと思う」

白川浅里はほっとした様子だった。「半夏が海辺に行ったわ。捕まえたわよ」

私はベッドから降り、白川浅里が外套を私の肩にかけてくれた。

「島の人間なの？」と私は尋ねた。

「ええ、首相官邸の人間よ」白川浅里は冷静に答えた。

私は驚いて彼女を見つめた。

白川浅里はうなずいた。「なんという因縁なのかしらね、そうでしょう？」

私は言葉を失った。本当にそうだった。

半夏と一人の男が縛られ、地面に跪かされていた。