026 魚が釣れた

竜崎美奈は藤丸詩織の言葉を聞いて焦り始めた。「私たち家族はここに3年も住んでいるのに、急に出て行けって言われても、私たちはどこに住めばいいの？藤丸詩織、あなたはどうしてそんなに冷酷なの？私たち家族を路頭に迷わせようとするなんて」

藤丸詩織は自分がまだ何も言っていないのに、竜崎美奈が非難してきたことに驚き、思わず苦笑してしまった。

藤丸詩織は直接言い返した。「伯母さん、私の家に住んでいることが正当だとでも？私も驚きましたよ。3年間も私の家に住んでいたことを追及しなかったのに、最後には冷酷だと言われるなんて」

ここで藤丸詩織は一旦言葉を切り、そして尋ねた。「では伯母さん、私に追及してほしいということですか？」

竜崎美奈は藤丸詩織の言葉を聞いて一瞬固まったが、すぐに我に返り、駄々をこねるように言った。「私たちは親戚なのに、そこまでよそよそしくする必要があるの？それにあなたはそんなにお金持ちで、会社まで奪い取ったのに、こんな些細なことにこだわって家まで要求するの？」

「外で何を騒いでいる？」藤丸明彦が怒りながら部屋から出てきて叫んだ。彼の後ろにも多くの人がついてきたが、みな藤丸明彦の醜態を見物する心持ちで出てきたのだった。

会社を奪われ、資産移転の計画も水泡に帰した藤丸明彦は、今では以前自分が見下していた人々を家に招いて商談するしかなくなっていた。

しかし藤丸明彦は、かつて自分に取り入ろうとしていたこれらの人々が、彼が落ちぶれたと知ると、突然態度を変え、一人一人が彼を冷たく扱うようになったことを予想していなかった。

彼は心中すでに苛立っていたところに、時々竜崎美奈の鋭い声が聞こえてきた。

竜崎美奈は藤丸明彦に驚かされて一瞬言葉を失ったが、すぐに我に返り、起こったことを全て説明した。

藤丸明彦はそれを聞いた後、今腕を組んでいる藤丸詩織に視線を向け、怒って言った。「詩織、お前が度を越えているんじゃないか？突然出て行けなんて言われても、私たちには何の準備もない」

「でも私が死んだとされた日に、伯父さんが妻子を連れて別荘に引っ越してきたと聞きましたけど。つまり、伯父さんの言う準備というのは、その時は長い間かけて準備していたということですか？」

最後の方で、藤丸詩織の声は冷たくなっていった。