043 お守り

藤丸詩織は藤丸明彦が手に持っている箱に目を向け、尋ねた。「何なの?」

藤丸明彦は箱を開け、中には翡翠で彫られたお守りが置かれていた。

そのお守りは目立たず、むしろ古びていて、一目見ただけで年季が入っているのが分かり、人々が一度見たら二度と見向きもしないようなものだった。

しかし、藤丸詩織はそのお守りを見た瞬間、凍りついた。

彼女は信じられない様子で目をこすり、藤丸明彦の手からお守りを取り上げて尋ねた。「叔父さんのお守りがどうしてここに?」

藤丸詩織が四歳の頃、彼女が一人で家で寝ていた時、おそらく乾燥が原因で、突然家が火事になった。藤丸詩織が熱さで目を覚ました時には、周りは既に火に包まれていた。彼女はその時完全に呆然として大泣きしていたが、そこへ叔父が駆けつけ、彼女を抱きかかえて外へ連れ出した。