081 仲が良くないようだ

結城邦彦も同様に口を開いた。「そうそう、お前たちが小さい頃から、お見合い結婚をさせようと思っていたんだが、大きくなってからあの小僧が嫌いになるかもしれないと思って、お前の将来を台無しにしたくなかったから言い出せなかったんだ。でも結城のお爺様はずっとお前が私の孫嫁になることを願っていたんだよ」

普段はビジネス界で冷徹な判断を下す結城拓海でさえ、この話題を聞いて期待に満ちた目で藤丸詩織の方を向いた。

藤丸詩織は三つの視線を浴びて、少し困った様子を見せた。

結城雛はそれを見て急いで「お爺様、お父さん、お母さん、そんなに詩織にプレッシャーをかけないでください。恋愛は自然に任せるべきですし、それに詩織は帰ってきたばかりで、会社の仕事も片付けなければならないでしょう」と助け船を出した。

藤丸詩織は軽く頷いた。

会社の話が出て、結城邦彦たちは過去三年間で藤丸明彦によってめちゃくちゃにされた会社のことを思い出した。

結城拓海が「詩織、会社で何か助けが必要なら、結城のおじさんを頼ってください。結城家の人々は全力でサポートしますから」と言った。

藤丸詩織は頷きながら、笑顔で「ありがとうございます、結城のおじさん。わかりました」と感謝の言葉を述べた。

結城拓海は手を振って「家族なんだから、お礼なんて言わなくていいよ。当然のことだよ!」と言った。

しばらく話をした後、来客が揃ってきたところで、藤丸詩織は「おじさん、おばさん、先にお客様の接待をしてください。私は雛と外を散歩してきます」と言った。

森村双葉は笑顔で承諾し、結城雛に藤丸詩織をしっかり案内するよう念を押した。

結城雛もすぐに「安心して、ママ。ちゃんとするから!」と答えた。

周りの来客たちも、すでに藤丸詩織に気付いていた。結城家は業界では厳格で笑顔を見せないことで知られていたのに、今若い女性の前でこんなに楽しそうに笑っているのを見て、好奇心を抑えきれず、隣の人と小声で話し合っていた。

「あの女性が誰か知ってる?」

「知らないわ。今まで見たことないけど、きっとすごい実力の持ち主なのよ。でないと結城家の前に立てないでしょう。それに、かなり綺麗な人ね」

「結城家の長男の彼女じゃない?」