335 謝罪

司会者は笑顔で登場し、会場の雰囲気を盛り上げた後、緊張の瞬間が訪れた。「それでは、今回の準決勝の優勝者を発表いたします——」

香月蛍は顔を上げ、スポットライトが自分に当たり、壇上で優勝スピーチをする場面を思い浮かべた。他の人々は羨望の眼差しで彼女を見上げることになるだろう。

香月蛍は口角を上げ、勝利を確信した表情を浮かべた。

若宮佳奈は相変わらず淡々とした表情で、少しの感情の動揺も見せなかった。

香月蛍は若宮佳奈の様子を横目で見て、ますます彼女が気取っていると感じた。

司会者:「優勝者は——若宮佳奈さんです!」

司会者が結果を発表すると、会場から大きな拍手が沸き起こった。香月蛍の得意げな表情は凍りついたまま、若宮佳奈を信じられない様子で見つめた。

若宮佳奈は緊張していた心が解きほぐれ、微笑みを浮かべた。