417もちろんあなたを殺す

車は人里離れた場所へと向かい、道中の揺れが激しく、水野月奈は何度も車を降りて吐いていた。

藤丸詩織は目を閉じていたが、まさに眠りに落ちようとした時、車が突然停止し、反射的に目を開けた。

水野月奈は藤丸詩織の視線に気づいて驚き、信じられない様子で尋ねた。「あなた、起きていたの?」

藤丸詩織は頷き、従順に車を降りながら淡々と言った。「ずっと起きていたわ」

彼女は周囲を見回して尋ねた。「私をここに連れてきて何をするつもり?」

水野月奈は反射的に答えた。「当然、殺すためよ!」

藤丸詩織は失望したように応じた。「そう、それだけ?」

水野月奈は藤丸詩織の反応を見て不機嫌になり、冷たく詰問した。「何よ、その態度は?私があなたを殺すって言ってるのに、怖くないの?」

藤丸詩織は首を振り、軽く笑って言った。「怖くないわ。私を殺そうとする人は多すぎて、もう慣れたわ。それに言わせてもらえば、あなたの計画は本当に下手ね」

水野月奈の表情が凍りついた。

藤丸詩織は批判を続けた。「会社に問題があるって電話をかけさせたけど、見たこともない番号だったわ。明らかに怪しいでしょう。それに、未明に少年が道端で倒れているなんて、私を誘き寄せるための手口としては分かりすぎよ」

水野月奈は拳を握りしめて怒った。「でも、結局私の罠にかかって捕まったじゃない?」

藤丸詩織は淡々と言った。「わざとよ」

彼女は今、心の中で非常に失望していた。本当は人体模型を送ってきた犯人を捕まえられると思っていたのに、自分を誘拐した人物が水野月奈だったなんて。

水野月奈は藤丸詩織の言葉に刺激され、彼女の襟首を掴んで怒りを露わにした。「私を出し抜いて得意になってるでしょう。でも、今はあなたの命が私の手の中にあるのよ!」

水野月奈は藤丸詩織が相変わらず怯えない様子を見て、冷たく言った。「本当にあなたのその態度が嫌い。桜井蓮があなたのどこに惚れたのか分からないわ。あなたが何をしても許してくれるのに、私には酷い仕打ちばかり!」

藤丸詩織は意外そうに眉を上げ、少し考えてから真剣な様子で言った。「誤解しているみたいね。彼は…」

水野月奈は制御を失ったように大笑いし、そして低い声で言った。「構わないわ。彼があなたを好きだろうと何だろうと、私はあなたを殺せる。桜井蓮の目の前であなたを殺してやるわ」