長谷盛は頷いて、「いいよ、説明してください」と言った。
城之内祐希は戸惑い、しばらく黙ってから口を開いた。「藤丸詩織は私を誹謗中傷しているだけです。きっと彼女がスクリーンで何か細工をしたから、同じように見えるんでしょう」
司会者は城之内祐希の言葉を聞いて、すぐに否定した。「私たちの大スクリーンには全く問題ありません。普段の活動もすべて公平公正に行われています」
城之内祐希は思わず司会者に詰め寄った。「あなた、藤丸詩織に買収されたんじゃないですか?」
司会者の表情が一瞬で曇り、城之内祐希を見る目も友好的ではなくなった。
藤丸詩織は冷静に言った。「どうしようもなくなった時に、他人を無闇に非難する必要はありません。私があなたを冤罪に陥れたというのは、全く成り立ちません」
城之内祐希は冷笑して、「あなたが成り立たないと言えば、そうなるんですか?」
藤丸詩織は「賀茂知之先生の作品はネット上で公開されています。信じられないなら、自分でネットで検索して、同じものかどうか比較してみてください」と言った。
城之内祐希は反論しようとした言葉を飲み込み、口を開いたものの、何も言えなかった。
長谷盛は携帯を取り出して何度も比較し、完全に同じだと確認すると怒って言った。「返金しろ、今すぐ返金しろ。80億円も払ったのに、贋作だったなんて!」
彼はそう言い残すと、主催者に説明を求めに行った。
主催者は城之内祐希に詰め寄った。「これはどういうことですか?」
城之内祐希は今、非常に恥ずかしい思いをしていた。特に、周りの人々の自分に対する賞賛の眼差しが、今では軽蔑に変わっているのを感じ取れた。この一件が会社にどれほど大きな影響を与えるか、想像できた。
城之内祐希は「この作品は秘書が見つけてきたものです。私は書道作品についてあまり詳しくないので、これが贋作だとは知りませんでした。このような悪影響を及ぼしてしまい、大変申し訳ありません」と言った。
主催者は城之内祐希が認めた後、80億円を長谷盛に返還した。
人々はこの場面を見て、再び議論が沸き起こった。ただし、今回は非難の対象が藤丸詩織から城之内祐希に変わっていた。
「つまり、城之内祐希が出品した作品は本当に偽物だったってこと?」
「そうに決まってるでしょう。でなければ、主催者が長谷盛に返金するはずがない」