028 彼の許可なしで

蘇我紬が目を覚ましたのは、すでに正午の12時だった。昨夜は午前3時半に就寝し、この時間まで影山瑛志はまだ帰ってこなかった。

一晩中帰らなかった。

これが蘇我紬が目覚めて気づいた事実だった。

しかし彼女は気にも留めず、伸びをして起き上がった。

おそらく白川蓮のところで一晩過ごしたのだろう。

でもそれはもう重要ではなかった。

彼女は簡単に身支度を整え、夏川澄花からのメッセージと無数の着信履歴を確認した。

返信しようとした矢先、夏川澄花からまた電話がかかってきた!

「紬、今日の午後2時はどう?部屋を見に行きましょう。」

蘇我紬は即座に答えた。「問題ないわ。荷物をまとめて、気に入ったらすぐに引っ越せるようにするわ。」

ちょうど影山瑛志がいない今、静かに出て行けば、説明する手間も省ける。

午後2時。

蘇我紬は約束の場所に10分早く到着した。そこは20階建ての高層マンションで、2棟あり、豪華で気品のある内装だった。ちらっと見ただけでも、エントランスのセキュリティは万全のようだった。

「紬、ここに決めたの。上がって見てみて、きっと気に入ると思うわ。」

蘇我紬は笑って言った。「あなたのセンスは信頼してるわ。」

部屋に入ると、シンプルなピンクと水色を基調とし、オレンジをアクセントカラーとして使用した家具が目に入った。全体的に非常に居心地の良い雰囲気で、必要なものは全て揃っており、入った瞬間から新しい家具の香りが漂っていた。

明らかに新調したものばかりだった。

蘇我紬は大変満足し、家賃を尋ねたところ、夏川澄花がすでに3年分契約していることを知った。

この場所で200平方メートルもある部屋、しかもこの立地となれば、決して安くはない!彼女は絶対に夏川澄花にこの費用を負担させるわけにはいかなかった。

しかし夏川澄花は頑として聞き入れなかった。

蘇我紬は即座にお金を引き出して彼女に渡したい衝動に駆られた!

夏川澄花は目を転がし、蘇我紬を引っ張って外に連れ出した。「もういいから、早く荷物を運びに行きましょう。私も二日くらい一緒に住めるわ。へへ、今は匂いがするけど、窓を全部開けてるから、夜には大分マシになるわよ。」