089 悲痛の蘇我紬

事ここに至り、もう何も消し去ることはできなかった。

久世澪との会話の後、蘇我紬の心は大きく揺れ動いていた。影山お爺ちゃんが目覚めた後でさえ、彼に会う準備ができておらず、ただ自分の部屋に閉じこもっていた。

静かに考えていた。

影山瑛志が戻ってきたとき、久世澪は一人で食事をしていた。彼は自然に尋ねた。「紬は食べ終わったのか？」

目上の人がまだ席を立っていないのに、蘇我紬が先に席を立つことはないはずだった。

案の定、蘇我紬は全く食事をしていなかった。

久世澪は彼に返事をした後、直接言った。「今日、紬にお爺ちゃんのことを話したわ。彼女はもう全部知っているわ。あなたに対してとても自責の念を感じているみたい。あなたたち二人の間に何があったのかは知らないけど、でも紬のことは気にかけてあげて。離婚しても、紬はあなたの妹なのだから。」

影山瑛志はその言葉を聞いて、表情は良くなかった。

全身が警戒状態に入っていた。蘇我紬がこの事実を受け入れられるなら、とっくに彼女に話していただろう。

だが、彼に対して自責の念を？

影山瑛志は食事をせず、お粥を一杯持って二階に上がった。蘇我紬が食事をしないのは絶対によくない。

ドアを開けると、影山瑛志は布団をかぶって震えている蘇我紬の姿を目にした。

彼女が何をしているのか、一目見ただけで分かった。

蘇我紬は自分の悲しい感情に深く沈んでいて抜け出せず、完全に自分の世界に入り込んでいた。影山瑛志が来たことにも気付いていなかった。

影山瑛志がお粥を置き、彼女を抱きしめるまで。

蘇我紬はようやく体を震わせ、急いで布団をめくった。

影山瑛志だと分かると、彼女の真っ赤な目はさらに赤くなり、申し訳なさそうに言った。「ごめんなさい、私が行き過ぎていたの。ネット上のことで白川蓮の責任を追及するのはやめます。あなたの好きなように処理してください。」

蘇我紬は当然深く後悔していた。もし彼女がいなければ、白川蓮と影山瑛志は本当に幸せな関係を築けていたはずだ。そして前回、彼女が疑いを持たないように、白川蓮の前で彼女をいじめるようなことまでした。

さらに彼女の不機嫌さのせいで、影山瑛志が白川蓮に会えなくなり、白川蓮が心の病を患うことになった。

これら全ては蘇我紬に関係していることだった。