隠れていた警官は白川蓮が興奮して発砲したのを見て、すぐに救急車を呼ぶよう指示し、もはや様子見を続けることもできず、さらなる警察官の応援を要請した。
その時、江口希美も白川蓮が銃を持っており、実際に発砲したことを知った。助手が派遣した者から影山瑛志が血だまりの中に倒れている写真も送られてきた。それを見た瞬間、彼女は緊張し、ソファから勢いよく立ち上がり、目から火が出そうな様子で「蓮!私が心から好きな人を、そんな風に扱うなんて!」
いけない、瑛志が撃たれた、すぐに病院に運ばなければ。
現場の者からもリアルタイムで江口希美に状況が報告され、すでに救急車を呼んだとのことだった。
江口希美は影山瑛志が負傷している様子を見て胸が痛んだ。すぐにでも彼の元へ駆けつけたかったが、今の白川蓮は狂気じみている。もし彼女が瑛志を助けに行って、恋敵と見なされて撃たれでもしたら、どうやって漁夫の利を得られるだろうか?
江口希美のホテルへ行きたい気持ちは次第に落ち着いていった。今は焦ってはいけない。
救急車が来たのだから、瑛志はきっと大丈夫なはず。瑛志が病院に運ばれたら、そこへ行って看病すればいい。
表向きは兄妹なのだから、近藤昭陽も疑うことはないだろう。
江口希美は黙って再び座り直した。
……
すぐに、訓練された銃を持った警察官の一団が突入し、白川蓮を包囲した。
白川蓮は彼らを見て、そして影山瑛志を見て、一瞬にして抵抗や逃走の考えすら失せた。
銃がカチャリと音を立てて床に落ち、白川蓮は完全に打ちのめされたように地面に膝をついた。
白川蓮に最も近い警察官が素早く銃を回収し、手錠をかけて外へ連行した。
影山瑛志の傍を通り過ぎる時、白川蓮はようやく気付いた。瑛志は大量の出血をしており、弾丸が貫通した箇所は、滴り落ちそうな鮮やかな赤い花のように開いていた。
目を覆うほど衝撃的な光景だった。
影山瑛志の顔色は蒼白で、唇には一片の血色もなく、失血のせいで呼吸も次第に弱くなっていった。
白川蓮の心臓が激しく収縮し、胸が引き裂かれるような痛みが押し寄せた。
白川蓮は憤りを込めて影山瑛志を睨みつけ、叫んだ。「瑛志!起きなさいよ!死んだふりなんかしないで!言っておくけど、死んだとしても私の手で死んだってことよ。私は少しも心を痛めないわ!」