第17章:小白兔が息ができなくなった

彼女はグラスを持ち上げ、一気に飲み干した。

そして、手に持ったもう一杯を見つめ、その愛らしくも呆然とした表情は可愛らしかった。

「あなたが飲めないことを忘れていたわ。じゃあ、このお酒も私が代わりに飲んであげるわね。」

そう言うと、彼女はもう一杯も飲み干した。

「このお酒、結構美味しいわね。」彼女は口をもぐもぐさせた。

鮮やかな赤いワインが彼女の唇にクリスタルの膜をかけたように輝き、豊かでふっくらとした唇を一層透き通らせていた。

彼女はお酒に弱く、普段は飲む勇気もなかった。

しかし、今夜は何も恐れていなかった。

思う存分飲める、心のままに飲める。

彼女は自分にもう一杯注いだ。今度はほぼ満杯だった。まるで水を飲むように、一気に胃の中へと流し込んだ。

この一杯を飲み干した後、彼女は体全体がふわふわと軽くなったように感じた。

この感覚は最高だった。

彼女は首を傾げ、藤原時央を見つめた。

「時央、もしあなたが目を覚ましたら、きっとこんな状況を受け入れられないでしょうね?昨日まで私たちはお互いを知る他人同士だったのに、今日は合法的な夫婦になってしまった。実は、私も夢を見ているような気分よ。」

「もしあなたが目を覚ますことができるなら、きっと私たちは離婚するでしょうね。もし、あなたが本当に目覚めるなら、私は自分の寿命の十年と引き換えにしてもいいわ!」

時田浅子はそう言うと、彼にさらに近づいた。

少女の温かい頬が藤原時央の胸に触れた。

時田浅子は彼の心臓の鼓動を聞いていた。

一つ、また一つ、力強いリズム。

彼女は突然、この音が不思議と安心感を与えてくれることに気づいた。

しばらくして、彼女はようやく顔を上げた。

「時央、あなたの肌はとても綺麗ね、繊細で完璧な磁器のようだわ。」時田浅子は思わず感嘆した。

彼女は我慢できずに手を伸ばし、彼の頬に触れた。

触り心地も良かった。

少女の温かい息が、ほんのりとしたお酒の香りと言い表せない甘い香りを含んで彼の頬に吹きかかった。

もし彼が普通の人間だったら、おそらくとっくに火がついていただろう。

「あなたのまつげ、どうしてそんなに長いの?まるで付けまつげみたい。女性が付けまつげをつけても、あなたのように長くて濃いものにはならないわ。」

そう言うと、彼女はまた我慢できずに手を伸ばして触れてみた。

今、彼女と彼の距離はほんの僅か。

二人の息遣い、一方は軽く、もう一方は重く、絡み合っていた。

時田浅子は彼のまつげを観察することに夢中で、自分の体の半分が彼の上に乗っていることに全く気づいていなかった。

彼女の胸は彼の胸に押しつぶされ、息苦しくなりそうだった。

彼女はまた悪戯っぽく彼のまつげを引っ張り、すべて本物だと確認した後、時田浅子はゆっくりと体を起こした。

しかし、腕がしびれて力が入らず、彼女は藤原時央の胸に倒れ込んでしまった。

偶然にも、彼女の唇が藤原時央の唇に触れてしまった!

彼女の唇にチクリとした痛みが走り、すぐに体を起こした。

藤原時央を見ると、彼の唇も傷ついており、彼女よりも酷い状態だった。

見たところ、少し赤く腫れていた。

「ごめんなさい、本当に故意じゃなかったの!」時田浅子は慌てて謝った。

ベッドの上の人は、何の反応も示さなかった。

時田浅子は密かにほっとした。良かった、彼は動くこともできず、何も感じることのできない植物人間だった。

彼女は痛む唇をさすりながら、ある考えが頭をよぎった。

彼は痛いのだろうか?

彼女は思わず近づき、彼の腫れた下唇を見つめた。

「吹いてあげようか?吹けば痛みが引くわよ。」

そう言うと、時田浅子は優しく息を吹きかけた。

お酒の香りを帯びた息が彼の唇に触れ、酒よりも芳醇で強烈だった。

しばらく吹いた後、彼女は子供をなだめるように彼の額を撫でた。

「大丈夫よ、もう痛くないでしょう?」

今、彼女の目はすでに少しうっとりとしていた。

酒が回り始めていたが、彼女自身はそれに気づいていなかった。

彼女の視線は彼の体を一巡りした。

ふと、ある場所に目が留まった。