第73章：証拠が来た

「時田浅子、あなたが知らないと思わないで。誰かがあなたを裏で助けているわ。あなたのお母さんは最高級のVIP病室に入院しているでしょう？一日でもかなりの費用がかかるはず。以前はあなたたち、入院費さえ払えなかったのに、どうして急にお金ができて、あんな良い病室に入れるの？どこからお金が出てきたの？」

「どこからお金が出てきたかはあなたには関係ないわ」時田浅子は冷たく反論した。

「時田浅子、わかっているよ。あなたとあなたのお母さんはただお金が欲しいだけなんだろう！言ってみろ、いくら欲しいんだ？」林聡明はもう時田浅子と無駄話をする気はなかった。

この件は、早急に解決しなければならない！

時田浅子は自分の頭を指さして言った。「私はあと少しで誘拐されるところだった。重傷を負ったのよ。斉藤愛梨が黒幕で、証拠も揃っているのに、あなたはこれが彼女と関係ないと思っているの！それどころか、私と母が金をゆすり取ろうとしていると疑うの？」

彼女は笑った。

彼女は、自分がここに立っていること自体が笑い話だと感じた。

「林聡明、あなたがそれほど斉藤愛梨を信じるなら、これからよく目を見開いて、あなたの理想の女性、あなたの心の中で純粋無垢だと思っている女が、実際にどんな人間なのかをしっかり見なさい！」

時田浅子はそう言い終えると、背を向けて去っていった。

林聡明は怒りで目の前が真っ暗になり、力なくソファに座り込んだ。

林清子は心配そうな表情で、慎重に林聡明の様子をうかがっていた。

お母さんが林聡明に隠している秘密があるのは確かだ。もし時田浅子にそれが暴かれたら、どうしよう？！

「お父さん、伊藤実里に働きかけてみたら？彼女にすべての責任を取らせるの」林清子は小声で提案した。

林聡明は怒りに任せていたため、いつもは穏やかで上品な娘がこんなアイデアを思いつくことに気づかなかった。

「問題はあの三人が、お前のお母さんに雇われたと言い張っていることだ」

「お父さん、きっと方法があるわ」林清子は林聡明の手を引いて懇願した。「お母さんはもう何日も中にいて、きっと毎日怯えているわ」

「お父さんがもう少し考えてみる」林聡明はそう言って立ち上がり、部屋を出た。

彼が本当に心配していたのは上からの圧力だった。

この件には、誰かが意図的に圧力をかけている。