時田浅子も思いもよらなかったが、みんながこんなに気を遣ってくれて、あれだけの料理が全部食べ尽くされるとは!
山本おばさんは藤原時央のために再び食事を用意し、ちょうど彼に届けようとしていたとき、時田浅子が入ってきた。
「山本おばさん、私が藤原若旦那に持っていきます」
「ありがとう!」山本おばさんはすぐに食事トレイを時田浅子に手渡した。
時田浅子はトレイを持って藤原時央の部屋に入った。
藤原時央は物音を聞いても顔を上げず、淡々と言った。「そこに置いておいて」
時田浅子はトレイをテーブルに置き、その場に立ったまま。
しばらくの間、何と切り出せばいいのか分からなかった。
藤原時央は何かに気づいたようで、ようやくゆっくりと顔を上げた。
彼女だったのか?
老人に取り入るだけでは足りず、今度は彼に取り入ろうというのか?