この薬は明らかに最近開発された新薬で、おそらく海外でもまだ発売されていないでしょう。国内なんてなおさらです。
「彼女は何を送ってきたんだ?」藤原時央の声が突然響いた。
白川健斗はそれを聞いて、携帯を持って彼の前に来て、画面の内容を藤原時央に見せた。
藤原時央は一目見ただけで、視線をそらした。
「彼女がこれを送ってきた理由は何だ?」
「彼女はこの薬の研究データが本物かどうか知りたいんだ。おそらく彼女の母親の病状に関係があるんだろう。でも、この薬は国内のものじゃない。覚えてる?前に話した海外の研究所のこと」
「覚えてるよ。この薬とどんな関係があるんだ?」
「同じ研究所から出たものだ。もし時田浅子がその研究所の人と親しくなければ、こんな資料は絶対に手に入らないはずだ」
「この薬に問題はないのか?」
「問題ありません!それどころか、この薬が市場に出れば、医学界に大きな波紋を呼ぶことは間違いない。非常に価値のある薬です!まず時田浅子にメッセージを返しておきます。彼女はおそらくまだ待っているでしょうから」
時田浅子は時々携帯を取り出して確認していた。
今夜、白川健斗が返信をくれるかどうかわからなかった。
こんな遅い時間に人に頼み事をしているのだから、急かすのも良くないと思った。
突然、携帯の画面が明るくなった。
彼女はすぐに開いた。
白川健斗からのメッセージを見て、心の中で喜びがこみ上げた。
この薬には問題がなく、しかも非常に良い薬だということだった!
ただ、母親がこの薬を使えるようにするには、海外で手術を受けさせる必要があり、これは大きな決断で、彼女はすぐには決められなかった。
宮本凪は、彼女が承諾さえすれば、すべてを手配すると言っていた。ちょうど夏休みに彼女と母親を海外に連れて行くつもりだった。
彼女が新学期が始まる頃には、母親も一緒に帰国できるだろう。
時田浅子の心は少し乱れていた。彼女はベッドに携帯を投げた。
藤原時央はいったいいつになったら離婚の手続きを完了させるのだろうか?
……
時田浅子は時間を見つけて、セリフを録音して大川先生に送った。
毎日、隙間時間を利用して、いくつかの音声を録音して保存していた。
あっという間に金曜日になった。