時田浅子は驚き、信じられない様子で藤原時央を見つめた。
彼女は聞き間違えたのだろうか?
藤原時央が良いと言った?
お爺さんはベッドから立ち上がった。
「お爺さん、動かないで!」時田浅子は急いで近づいた。
お爺さんは脇にあったフルーツバスケットを取り上げ、藤原時央の腕に置き、急かした。「早く行きなさい。」
時田浅子:……
藤原時央はすでに車椅子を動かし、先に進んでいた。
時田浅子は急いで追いかけた。
藤原時央はドアの前で彼女を待っていた。
「持って。」彼は冷たい声で言った。
時田浅子は彼の腕からフルーツバスケットを取り上げた。
重い!
「何階?」藤原時央は尋ねた。
「藤原若旦那、本当に行かなくていいんです。外のバルコニーで少し待っていてください。すぐに戻りますから。」
藤原時央は心の中でイライラした。
「もし、お爺さんが私が行かなかったことを知ったら、きっと激怒するだろう。」
時田浅子はしばらく考え、そうなる可能性があると思った。
彼女は知っていた、この病院も藤原家の所有物だということを。
藤原時央の車椅子はエレベーターの前に進んだ。
「何階?」彼はもう一度尋ねた。
「7階です。」
エレベーターは7階で止まり、時田浅子が前を歩き、藤原時央が後ろについて、ある病室に着いた。
時田秋染は時田浅子がこんなに早く来るとは思わなかった。しかも手には豪華なフルーツバスケットを持っていた。
彼女が口を開こうとした時、時田浅子の後ろに車椅子に座っている男性を見つけた。
藤原時央は精巧な仕立ての白いシャツを着て、下は黒いスーツを履いていた。シャツのボタンは一番上まできっちりと留められ、袖口のボタンもしっかりと留められていた。
全体的に見ると、彼は品格があり、高貴な印象を与えた。
車椅子に座っていても、彼の姿勢の良さが伺えた。
時田秋染は藤原時央を上から下まで見つめた。
目には隠しきれない驚きの光が輝いていた。
この人は、彼女の新しい婿ではないだろうか?
こんなにハンサム!
重要なのは、全身から落ち着いた雰囲気が漂っていて、浮気するタイプには見えないことだった。
「浅子、早くお母さんに紹介してよ!」
時田浅子は振り返って藤原時央を見て、少し気まずそうだった。