第121章:義母の前で藤原さまは少し大人しい

時田浅子は驚き、信じられない様子で藤原時央を見つめた。

彼女は聞き間違えたのだろうか?

藤原時央が良いと言った?

お爺さんはベッドから立ち上がった。

「お爺さん、動かないで!」時田浅子は急いで近づいた。

お爺さんは脇にあったフルーツバスケットを取り上げ、藤原時央の腕に置き、急かした。「早く行きなさい。」

時田浅子:……

藤原時央はすでに車椅子を動かし、先に進んでいた。

時田浅子は急いで追いかけた。

藤原時央はドアの前で彼女を待っていた。

「持って。」彼は冷たい声で言った。

時田浅子は彼の腕からフルーツバスケットを取り上げた。

重い!

「何階?」藤原時央は尋ねた。

「藤原若旦那、本当に行かなくていいんです。外のバルコニーで少し待っていてください。すぐに戻りますから。」

藤原時央は心の中でイライラした。

「もし、お爺さんが私が行かなかったことを知ったら、きっと激怒するだろう。」

時田浅子はしばらく考え、そうなる可能性があると思った。

彼女は知っていた、この病院も藤原家の所有物だということを。

藤原時央の車椅子はエレベーターの前に進んだ。

「何階?」彼はもう一度尋ねた。

「7階です。」

エレベーターは7階で止まり、時田浅子が前を歩き、藤原時央が後ろについて、ある病室に着いた。

時田秋染は時田浅子がこんなに早く来るとは思わなかった。しかも手には豪華なフルーツバスケットを持っていた。

彼女が口を開こうとした時、時田浅子の後ろに車椅子に座っている男性を見つけた。

藤原時央は精巧な仕立ての白いシャツを着て、下は黒いスーツを履いていた。シャツのボタンは一番上まできっちりと留められ、袖口のボタンもしっかりと留められていた。

全体的に見ると、彼は品格があり、高貴な印象を与えた。

車椅子に座っていても、彼の姿勢の良さが伺えた。

時田秋染は藤原時央を上から下まで見つめた。

目には隠しきれない驚きの光が輝いていた。

この人は、彼女の新しい婿ではないだろうか?

こんなにハンサム!

重要なのは、全身から落ち着いた雰囲気が漂っていて、浮気するタイプには見えないことだった。

「浅子、早くお母さんに紹介してよ!」

時田浅子は振り返って藤原時央を見て、少し気まずそうだった。