第218章：藤原さまの功績は他人に奪われてはならない

安藤さんは時田浅子と藤原時央を連れて古い屋敷に戻ると、もう正午近くになっていた。

時田浅子が車から降りると、藤原時央は直接安藤さんに言った。「会社まで送ってくれ」

「若旦那、今日は週末ですよ。一日くらい休んだらどうですか？」安藤さんは小声で勧めた。

「そんな暇はない」藤原時央は冷たく返した。

安藤さんは仕方なく、車を発進させた。

時田浅子は車が遠ざかるのを見て、やっと長く息を吐くことができた。

今後、もし彼女がまた酔っ払ったら、自分は犬になる！

中庭に入ると、老人が熱心に出迎えに来た。

「浅子、昨日は蘭苑に行ったのか？ちょうど週末だし、もう少し遊んでくればよかったのに？」

「整理しなければならない資料があって、ちょうど藤原若旦那も忙しいので、帰ってきました」

「大丈夫、また機会はあるさ。若い者は、もっと外に出かけるべきだ。さあ、まずは食事にしよう」

時田浅子はテーブルに座ったが、実はそれほど空腹ではなかった。それでも、老人と一緒に食事をした。

「おじいさま、来週の月曜日にレコーディングスタジオで録音があるので、時間通りに帰れないかもしれません」時田浅子は録音のことを老人に話した。

「どんな録音なんだい？」

「あるドラマのヒロインの声を担当します」

「わあ！浅子はすごいね！これもあなたの仕事のようなものだね！レコーディングスタジオはどこにあるの？地方に行く必要はないよね？」

「地方に行く必要はありません。レコーディングスタジオは帝都にあります。道のりを確認したところ、片道一時間半かかります。藤原若旦那に毎日送り迎えしてもらうのは面倒をかけすぎるかなと思いまして。彼の道順ではないし、往復で少なくとも三時間はかかってしまいます」

老人はしばらく考えた。「どれくらいの期間録音するんだ？」

「長くても半月です」

「それなら安藤さんに送ってもらって、忙しいのが終わったら、また時央に送ってもらおう」

「はい」時田浅子はうなずいた。

徐々に、彼女は老人に藤原時央が彼女を送り迎えするという考えを捨てさせるつもりだった。時間を計算すると、彼女が声の録音を終えれば、残りは二ヶ月もないだろう。

この三ヶ月は、そんなに耐えられないほどではないようだ。

勝利は目前だ！

……

藤原時央は会社に戻るとすぐに、積み重なった業務の処理を始めた。