第260章：お爺さん：私はただ笑って、何も言わない

「最初は、この結婚を受け入れられなかったから、斉藤若春に私の彼女のふりをしてもらったんだ。君が私に彼女がいると知れば、時田浅子との離婚に同意してくれると思ったんだ」藤原時央は正直に認めた。

「お前は...お前は...何と言えばいいんだ！」老人は怒って指を藤原時央に向けた。

藤原時央は反論せず、むしろ老人がさらに彼を皮肉っても、平然と受け入れる覚悟ができていた。

「お前とその斉藤若春はどうやって知り合ったんだ？以前はどんな関係だったんだ？彼女がどうしてお前とそんなに親しくできるんだ？」老人の心はまだ疑問でいっぱいだった。

「海外留学していた数年間に彼女と知り合った。彼女は同じ大学で、心理学を専攻していた」

「藤原時央、一つだけ本当のことを聞きたい。お前はこの斉藤若春と感情的なもつれがあったのか？男女の間に純粋な友情があるなどと言うな！そんな戯言は信じないぞ！」

「彼女を妻にすることを考えたことはある」藤原時央は率直に答えた。

「彼女と結婚することまで考えていたのに、二人の間に何もないと言うのか？」老人は藤原時央に怒り心頭だった！

「なぜなら、彼女は私の妻として適任だったからだ。彼女の前には、彼女より適した人を見つけられなかった。しかし、それはただ適しているというだけのことだ」

老人は密かにほっとした。

「その斉藤若春の態度はどうなんだ？」

「今日、彼女と約束をして、時田浅子に私たちの関係を明らかにするつもりだ」

「うむ！それは必要なことだ。浅子にずっとお前たちの関係を誤解させておくわけにはいかない。しかし、その斉藤若春はお前に本気かもしれないな。どうあれ、お前はそんなことをすべきではなかった！」

「最初は、私と時田浅子の関係がこんな風に発展するとは思っていなかった」

「ふん！」老人は傲慢な表情を浮かべた。「最初、誰が態度を固めて、絶対に浅子のことを好きにならないと言ったんだ？結果、こんなに短い時間で、完全に手のひらを返したな」

藤原時央は黙ったまま、老人の皮肉を受け入れた。

「お前といったら！私とお前の母親が気に入った女の子が、どこが悪いというんだ？今になって後悔しているだろう？自分で自分の首を絞めたんだな？自業自得だ！」老人は今や得意げだった。