第303章:彼女の防衛線を突破する

時田浅子は鼻先に痛みを感じ、涙が溢れ出てきた。

彼女が藤原時央のどこにぶつかったのかを意識した時、彼女は完全に動揺してしまった。

彼の手の力はまだあり、明らかに故意だった!

時田浅子はバスタオル越しに噛みついた。

「ピッ~~~」頭上から息を飲む音が聞こえた。

この一噛みは、それほど痛くなく、しかもバスタオル越しだったので、せいぜい軽く擦っただけだった。

そんな一噛みで、藤原時央の全身の血液が沸騰したお湯のように、一斉に脳へと駆け上がった!

彼は時田浅子の豊かで柔らかい髪を撫でながら、心は油が火に触れたように燃え上がった。

時田浅子は思いもよらなかった。彼女が噛んだのに、彼はなぜまだ動かないのか?彼は痛くないのだろうか?

それとも、彼女の噛み方が弱すぎたのか?

突然、藤原時央は彼女の顎を掴み、小さな顔を持ち上げた。