一人は南に、一人は北に、どうやって道が通じるというのか?
一人は本当に言い放ち、もう一人はそれを本当に信じるとは!
やはり、男の口は嘘つきの鬼!藤原若旦那も例外ではない。
彼は感じた、藤原若旦那は意図的に若奥様を騙して連れ出し、何か企んでいるに違いない!
時田浅子と藤原時央は車に座り、彼女は急いでそのギフトセットを開け、思わず人形の小さな像を取り出して見つめた。
その様子は、まるで贈り物をもらった子供と何ら変わりなかった。
藤原時央の唇の端がわずかに上がり、時田浅子を見る目には柔らかな感情が加わった。
どうやら、彼女はとても気に入ったようだ。
「藤原若旦那、知ってる?この文化商業通りは本当に成功してるの。他の商業通りとは違って、商業通りと呼ばれてるけど、商業的な雰囲気はそれほど強くなくて、至る所に伝統文化があるの。文化創造製品もすごく発展していて、これらの小さな像は影絵芝居を見終わった後に子供たちに配られるだけで、大人が欲しい場合はイベントに参加しないと手に入らないのよ!まして、このセット全部を集めるなんて!やっぱりあなたは顔が利くわね!」
藤原時央の唇の笑みはさらに深くなった。
時田浅子が振り返ると、藤原時央の笑顔と目が合い、彼女の心臓は制御不能に鼓動を一つ飛ばした。
思わず、先ほど影絵芝居の劇場で藤原時央が彼女にしたことを思い出した。
突然、耳が熱くなり、顔も真っ赤になった。
藤原時央は彼女の異変に気づいた。
彼女の視線はきょろきょろと落ち着かず、仕草も極めて不自然になっていた。
彼はそれを、照れと解釈した。
この姿は、藤原時央の心を揺さぶり、劇場での名残惜しいキスを続けたいと思わせた。
しかし、彼はこの瞬間を急ぐことはなかった。
時田浅子は黙って物を片付け、もう藤原時央を見る勇気がなかった。
藤原時央が彼女に対して一度また一度と常識を超えた行動をとった後、彼女がまだ彼の意図を理解できないとしたら、それはあまりにも鈍感すぎるだろう。
彼女は今、藤原時央に少し恐れを感じていた。
彼がさらに過度な行動に出るのではないかと恐れていた。
車内は静寂に包まれ、二人とも声を出さなかった。
時田浅子は体を回して窓の外を眺め、外の景色を見ていた。
突然、時田浅子の携帯が鳴り、お爺さんからの電話だった。