第326章:まだ良かった、あなたはダメだ!

時田浅子は怒って彼を見つめた。「昨夜、あなたがダメだったのは幸いだわ!」

「何だって?」藤原時央は即座に眉間にしわを寄せた。

ダメ?彼女は彼がダメだと言ったのか!

その二文字で、彼は怒りで死にそうになった!

時田浅子は彼に何の返事もせず、車のドアを開けて降りた。

藤原時央は彼女の怒り狂った後ろ姿を見つめ、ネクタイを引っ張った。彼は時田浅子のこの小娘に息ができないほど怒らされていた!

昨夜はあんなに素直だったのに、彼は彼女が本当に彼を受け入れてくれたと思っていた。

なんと、彼女は彼から逃げるためにこんな策を講じたのだ!

彼、藤原時央の感情はそんなに卑しいものなのか!

……

時田浅子が校内に入ると、彼女の後ろを歩く人々からひそひそ話が聞こえてきた。

「『天籟の饗宴』の第二回に時田浅子が出るって聞いたよ」