柳裕亮がまだ口を開かないうちに、林課長が時田浅子の方へ歩み寄ってきた。「まだこんな時間じゃないか?食事を終えたばかりで、本当のお祝いはこれからだよ。時田浅子、この時間に帰るなんて、みんなの気分を台無しにするよ。みんな、そうだろう?」
「そう、そうだよ」鈴木明はすぐに同調した。
彼が柳裕亮のために計画した告白イベントはまだ始まっていなかった!
時田浅子は主役なのに、主役がいなくなったらどうするんだ。
そう言って、彼は腕で柳裕亮を突いた。「裕亮、そうだろう?」
「時田浅子、今日のクランクアップパーティーはとても重要なんだ。あなたがこうして私たちを置いて行くなんて、林課長に対して、先輩に対して少し失礼じゃないかな」ある声が響き、その口調には非難の色が混じっていた。
「そうよ!みんな楽しくやってたのに、これじゃ雰囲気が台無しよ」また別の人が小声で口を挟んだ。
「彼女は私たちと遊びたくないんだよ。彼女は今どんな身分だと思ってる?藤原時央みたいな大物と噂になって、エンターテイメント界の大物・白沢三様まで子犬みたいに彼女の周りをうろついてるんだから」
時田浅子の視線がこれらの人々に向けられると、彼らはすぐに口を閉ざした。
「時田浅子、君に残ってほしい」柳裕亮が突然口を開いた。
この瞬間、全員の視線が時田浅子に向けられた。
時田浅子はさすがにこれも断らないだろう?
柳裕亮の言葉は、確かに時田浅子を窮地に立たせた。もし彼女がまだ帰ると言い張れば、柳裕亮は必ず面目を失うだろう。
「あまり遅くまでは遊べないわ。11時までには帰らなきゃいけない」時田浅子は頷いて承諾した。
「わかった」柳裕亮の張り詰めた心の糸が緩んだ。
時田浅子が残ることを承諾した。彼にはまだ一筋の希望があった。
「さあさあ、みんな歌を選ぼう。雰囲気を盛り上げよう」鈴木明はすぐに場を温め始めた。
激しい音楽が鳴り始めると、雰囲気は再び活気づいた。
このとき、ウェイターがいくつかの酒を運んできた。すべてのボトルのキャップは開けられており、みんなが取りやすいようになっていた。
林課長は片手にボトルを取り、柳裕亮と時田浅子に渡した。
「柳監督、時田浅子さん、まずは一杯」
柳裕亮はボトルを受け取り、時田浅子も受け取った。