「浅子、そんなに早く歩かないで、痛いよ」
お爺さんと大木嵐は顔を見合わせ、二人とも驚きの表情を浮かべていた。
藤原時央は今、甘えていたのか?
藤原時央と時田浅子の姿が階段を上がって見えなくなるまで、大木嵐とお爺さんの視線はそこから離れなかった。
「さっき浅子は本当に走って帰ってきたの?」
「ええ、安藤さんが彼女に話したら、すぐに落ち着かなくなって、きっと時央が叩かれるのを心配したんでしょう」
「知っていたら、藤原時央をもっと叩いておくべきだった!これで彼がまた斉藤若春と関わろうとするか見ものだ」
「あの斉藤若春は手ごわい相手ですよ」
「彼女が手ごわいかどうかに関係なく、蠅は隙間のない卵には寄り付かないものだ!」お爺さんは怒って言った。「さっき浅子が止めなかったら、私はもっと彼を叩いていたよ。私は彼に27回も電話したんだぞ!なのに彼は私の電話に出なかった」