このお金は全部彼女のものであり、しかも合法的に得たものだったので、彼女はすべて受け取った。
そして、このお金はほとんどがあのスポンサーからの贈り物だった。
彼女はただあのスポンサーがお金持ちだと思っていただけで、まさかあんなにお金持ちだとは思わなかった!
以前、藤原時央がくれた300万円と、契約後の収入、そして彼女が音声を売って少しずつ貯めたものを合わせると、もう1500万円近くになっていた。
彼女は今、お金を稼ぎたい、たくさんのお金を稼いで、母親に幸せに暮らしてもらいたいと思っていた。
もし可能なら、母親を海外に送り出すのが一番良い。
十分なお金を貯めたら、彼女はすべてを捨てて、母親と人生の最後の時間を過ごすつもりだった。
食事を終えると、森山緑は時田浅子を見て、「浅子、病院に残っていても母親には会えないわ。先に送っていこうか?」と言った。
帰る?
彼女はどこに帰ればいいのだろう?
「緑ねえさん、先に帰ってください。私はもう一度看護師に母の状態を聞いてみます。後で江川楓に連絡して、送ってもらいます」
「わかったわ、じゃあ先に帰るね」森山緑は荷物をまとめて階下へ向かった。
時田浅子は入院部のサービスカウンターに向かった。
突然、カウンターの前に立っている人影が目に入った。その人は大きな花束を抱え、カウンターの看護師に何かを尋ねていた。
斉藤若春!時田浅子の心に怒りが湧き上がった。
彼女はすぐに斉藤若春に向かって歩み寄った。
斉藤若春は背後から聞こえる足音に振り返り、時田浅子を見るとすぐに親しげな笑顔を浮かべた。
「時田浅子……」
「パン!」鮮やかな平手打ちの音が斉藤若春の顔に響いた。
彼女は体のバランスを崩して後ろに倒れ、地面に転んだ。手に持っていた花も一緒に落ち、彼女は非常に惨めな姿になった。
「時田浅子、私は本当に心から母親の見舞いに来たのよ。今、どんな状態なの?」斉藤若春は立ち上がらず、地面に倒れたままで、顔中に心配の表情を浮かべていた。
「斉藤若春、何を演じているの?金恵はあなたの会社の芸能人でしょう。彼女のしたことを、あなたが知らないはずがないわ」