時田浅子の手が宮本凪に握られ、彼女はすぐに手を引っ込めた。
この無意識の反応に宮本凪は少し落胆した。
「宮本凪、ありがとう」時田浅子は優しい声でお礼を言った。
この薬が手に入ったこと、彼女は信じている、宮本凪がきっと多くの努力を払ったのだろうと。そして、それは彼女のためにしてくれたことだった。
「浅子、私にお礼を言わないで、そんな言葉は私たちの間には必要ないよ」
「宮本凪、ありがとう以外に、私に何ができるかわからないわ」
「浅子、藤原時央から離れてくれないか?」宮本凪が突然言った。
時田浅子は口を開いたが、声が出なかった。
「浅子、藤原時央から離れたくないの?」宮本凪は少し焦った、彼が最も心配していたのは時田浅子が藤原時央を愛してしまうことだった。
「宮本凪、あなたの気持ちはわかるわ。でもこれは時央から離れるか離れないかの問題じゃない。たとえ時央でなくても、誰でもない、私はこの一生結婚したくないし、誰かを愛したいとも思わない」
「わかるよ、君はお父さん...林さんに深く傷つけられたんだ。浅子、すべての男がそうじゃない。この一生、君以外の誰も愛することはないよ」
宮本凪の感情は少し高ぶり、時田浅子の手をしっかりと掴んでいた。
時田浅子は力を入れて引っ張ったが、手を引き抜くことができなかった。
「宮本凪、落ち着いて」
「浅子、抱かせてくれ、この長い年月、どれほど君をもう一度抱きしめたいと思っていたか分かるかい?毎晩夢から覚めるたび、すぐに国に帰って、君のそばに戻りたいと思っていた」
宮本凪は時田浅子をしっかりと抱きしめた。
「浅子、君が恋しかった、本当に恋しかった」
時田浅子はもがいたが、宮本凪はさらに強く抱きしめた。
「あの日、林家で君に会って、君が車に乗って去っていくのを見た時、君は知らないだろうけど、僕はどれほど悲しかったか。浅子、僕は本当に君が大好きなんだ、大好きなんだ」
宮本凪の顔は時田浅子の頬にぴったりとくっついていた。
時田浅子はすでに緊張で呼吸ができなくなっていた。
なぜ彼女はまだこんなに強いストレス反応があるのだろう?
藤原時央と一緒にいる時は、大丈夫だったじゃないか?彼らの間でしたことは、彼女の想像を超えるものだったのに、ストレス反応は出なかった。
彼女は自分が良くなったと思っていた。