第526章：藤原さまも反抗期の少年だった

「彼は私の指示に従うしかなく、私が用意した道を歩むしかなかった。彼は今のようではなく、反抗期もあり、私の支配から逃れようとしたこともあったが、最終的にはそれが無駄だと気づき、大人しく藤原家の事業を引き継いだのだ。」老人は言い終えると、再びため息をついた。

「私にも選択肢がなかった。彼の父親のことは、今でも受け入れられない。危険があると知りながら時央を送り出すことなど、できるはずがない。私は自分勝手に時央を私のそばに置いておきたかったのだ。」

「それと白沢さんの次兄とはどういう関係があるのですか？」時田浅子は続きが知りたくて、我慢できずに尋ねた。

「さっき言ったように、時央も反抗したことがあるだろう？彼は私に内緒で白沢清志と一緒に試験を受け、上層部から評価されてしまった。上層部が彼を欲しがったんだ！私は自ら彼を連れ戻し、ひどく叩きのめした。」

「それで？」

「その後、時央は軍服を着た。白沢清志も軍服を着た。」

時田浅子は老人の憂いに満ちた表情を見て、老人の手をしっかりと握った。「おじいさま、時央はもう反抗期の子どもではありません。彼と白沢清志はただ会うだけです。そんなに心配しないでください。」

「うむ。」老人はうなずいた。

……

藤原時央は白沢清志の家の前に到着し、車を停めた。

白沢清志はすぐに出てきて、笑顔で藤原時央を見た。

白沢清志は今日で二十九歳、藤原時央よりも少し年上だった。

数年前、結婚する前は、まだ落ち着いて見えたが、結婚してからは、むしろ言葉では言い表せないほど変わってしまった。

特に藤原時央が昏睡から目覚めた後、白沢清志はまるで別人のように感じられた。

白沢清志は濃紺の部屋着を着ており、胸元にはストロベリーベアの絵柄があった。その顔は相変わらずハンサムで人を圧倒するような鋭い輪郭を持っていたが、どう見ても柔らかさが加わっていた。

藤原時央は、きっと白沢清志の家の照明のせいだろうと思った。

「君のお爺さんは、君が私に会うことを知っているのか？叱られなかったか？」白沢清志は笑いながら尋ねた。

「どう思う？」藤原時央は反問した。

「それでもまだ来る勇気があるとは？」

「じゃあ帰るか？」

白沢清志はすぐに前に出て、藤原時央の肩を抱いた。「帰るなんてとんでもない！酒も用意してあるんだ。」