藤原時央が京都病院の研究プロジェクトに参加していない限り、彼は心配していなかった。
彼が恐れていたのは、藤原時央が彼の言うことを聞かず、隠れてそのようなことをすることだった。
一度、彼の肩に重い責任が降りかかれば、同じ危険も背負うことになる。
藤原時央は時田浅子の手を握り、優しい声で言った。「ついでにお母さんを見てきたよ」
「お母さんに会ったの?」時田浅子は興奮して尋ねた。
「病室には入れなかったけど、ガラス越しに少し話したよ。彼女の容態はもう良くなってきていて、今朝は熱が下がったんだ」
「よかった、じゃあ私はいつ会いに行けるの?」
「まだ面会は許可されていないんだ。お母さんのためでもあるし、ガラス越しの面会で君が悲しむのも心配だから、お母さんには、この数日間は君を連れて行かないと伝えておいたよ」
時田浅子はゆっくりと頭を下げた。
「ご飯は食べた?」
「うん、食べたよ」
「服を着替えて、一緒に出かけよう」
「どこに行くの?」
「行けばわかるさ」
時田浅子が服を着替えるために階段を上がると、藤原時央もついて行き、自ら彼女のためにスポーティなカジュアルウェアを選び、日よけ帽も手渡した。
藤原時央も自分でカジュアルな服装に着替えた。
「一体何をしに行くの?」時田浅子はやはり我慢できずに尋ねた。
「ゴルフに行くんだ」
「私できないよ!」
「教えてあげるよ、白沢陸もいるし」
時田浅子は藤原時央に引っ張られて階段を下りると、江川楓はすでに車を出していた。
30分もしないうちに、彼らは高級ゴルフクラブに到着した。
時田浅子はこのような場所に来るのは初めてで、見渡す限り、緑の芝生が果てしなく広がっていた。
「藤原若旦那、浅子!」白沢陸はゴルフカートに座って二人に手を振った。
藤原時央は時田浅子を連れて別のカートに乗り、車が動き出して白沢陸の横に停まった。
「こんなに健康的な活動に参加するのは久しぶりだな。藤原若旦那、どうして俺をゴルフに誘ったんだ?」白沢陸は笑顔で尋ねた。
「浅子は休みが長いのに、外出していなかったんだ。人が多い場所は不便だから、ここを選んだんだよ」
「なるほど、君は俺とプレーしたいんじゃなくて、浅子を連れ出して遊びたかったんだな」
藤原時央は白沢陸に「わかってるならいいじゃないか」という表情を見せた。