第548章：同じ憎しみがあってこそ共鳴できる

「そう理解していいわ」斉藤若春はうなずいた。

彼女の誘導は成功し、林清子はすぐに彼女の罠にはまった。

林清子はその数字を見て、顔が歪んだ！

「この資料、写真を撮ってもいいですか？」林清子はすでにこっそりとスマホを取り出していた。

彼女はこのことを絶対に父親に伝えなければならない！

「もちろんいいわよ、これらの資料はすべて公開されているものだから」斉藤若春は気前よく林清子の前に移動し、彼女が写真を撮るのを許した。

林清子は写真を撮り終えると、すぐにスマホをしまった。

「斉藤さん、あなたは今、宮本凪に毎日会えるんでしょう？彼は一体何をしているの？彼の両親は雲都に定住しているのに、彼が帰国したら、雲都に行くはずじゃないの」林清子は我慢できずに尋ねた。

「私も毎日彼に会えるわけではないわ。私は忙しいけど、彼がなぜずっと帝都に留まっているのか知っているわ」

「なぜ？」林清子はすぐに尋ねた。

「彼は時田お母さんの状態を心配しているの。時田お母さんが退院したら、彼はおそらく雲都に戻るわ」

林清子はこれを聞いて、密かに両手を握りしめた。

「林さんと時田浅子は姉妹なのに、時田浅子は本当に情けも顧みないわね。こんなやり方は家族というより、復讐に近いわ」斉藤若春は離間を煽り続けた。

「私と彼女は一度も家族だったことなんてないわ！」林清子は反論した、「彼女だって私を踏みにじりたいと思っているはずよ！」

斉藤若春の目の奥に一瞬笑みが走った。

林清子を探したのは間違いなかった。このような強い利益衝突と憎しみの関係があってこそ、彼女と統一戦線を組むことができ、時田浅子を殺したいという彼女の気持ちを理解できるのだ。

「林さん、あなたも心を落ち着けて。この期間、私も帝都にいるから、何か私の力が必要なことがあれば、いつでも私を頼ってね」

「はい、ありがとう、斉藤さん。本当に幸運だわ、あなたのような友達ができて」

「私もよ」斉藤若春は誠実にうなずいた、「あなたは飛行機を降りたばかりだから、ゆっくり休んで。私はもう邪魔しないわ。時間があったらまた連絡して」

「わかったわ、じゃあ見送らないわ、お気をつけて」

斉藤若春が去ると、林清子の顔から笑みはすぐに消えた。

この斉藤若春、本当に愚かね。彼女が自分を利用していることにも気づいていない。