第586章:藤原さま、寝ていても撃たれる

林清子も座り、服の端をきつく握りしめながら、こっそりとお爺さまと時田浅子の方を見上げた。

「お爺さま、ここには本当にメニューがないのですか?」時田浅子は好奇心を持って尋ねた。

林清子の心には軽蔑の念が湧いた。

見てよ、時田浅子のあの世間知らずな様子!

お爺さまは時田浅子に優しく微笑みかけた。「メニューはないんだ。何を作るかはすべてシェフの気分次第で、彼が作ったものをお客さんは食べる。ただし、一つルールがあって、お客さんが美味しくないと言えば、料金は一切取らないんだ。」

「もしお客さんが苦手なものに当たったらどうするんですか?例えば、パクチーが嫌いな人とか。」

「そういうお客さんは、普通は事前に言っておくものだよ。」

「なるほど!」時田浅子は頷き、思わず小声でつぶやいた。「藤原時央がここに来なくて良かった。でないと、お店を潰しに来たと思われちゃうわ。」