森山緑は大きくため息をつき、パソコンの電源を切った。
藤原社長には脚本家としての実力もあったのだ!
ただ、このストーリーは……
まあいいか、脚本のことは浅子が戻ってくるまで待とう!
この脚本は最初から時田浅子が考えていた通りに書かれていて、キャラクター設定も非常に充実していた。
しかし、藤原時央の要求を満たし、時田浅子がこの役をスムーズに演じられるようにするため、森山緑は藤原時央と何度も話し合いを重ねた。
ようやく、あんな中身のない役を作り出した。
空虚で、魂がない。
誰が見てもそう感じるはずだ。
でも、藤原社長は気にしない。彼はただ時田浅子に高嶺の花として、ただ美しく存在してほしいだけだった。
今では直接脚本まで書き始めたのだ!
……
時田浅子と藤原時央が帝都に戻ると、老人と時田秋染と一晩過ごした後、翌日すぐに会社へ行って森山緑に会った。
「緑ねえさん、脚本の件はどうなりましたか?」時田浅子は期待に満ちた表情で尋ねた。
森山緑はパソコンを持ってきて、時田浅子の前に置き、そのファイルを開いた。
「浅子、これを見てみて。」
「これは何?」
「新しい脚本よ。」
「元の脚本のままでよかったんじゃないの?編集者に脚本を書き直させたの?」時田浅子は困惑した表情を浮かべた。
森山緑は微笑んだだけで、何も言わなかった。
時田浅子は真剣にこの脚本を読み始めた。
半分ほど読んだところで、何かがおかしいと感じ、眉をきつく寄せた。
「青杳仙人様が愛した冥古神様が悪獣の手にかかって死んだって?」時田浅子は困惑した表情で森山緑を見た。
森山緑は突然笑いたくなり、必死に堪えた。
「緑ねえさん!」時田浅子は甘えた声で抗議した。「これはあなたが編集者に変更させたものじゃないでしょう?冥古神様を直接死なせるなんて?青杳というキャラクターにはもう存在意義があるの?脚本の変更が大きすぎるわ!」