島田香織はデパートでスポーツウェアを一式買い、すぐに着替えて、野球帽も被った。
「よし、行こう!」陣内美念は島田香織のこの姿なら、他人には気づかれないだろうと思った。
二人は安川市の安川河のほとりに来た。毎晩ここには多くの焼き鳥屋台が出ていた。
島田香織と陣内美念は車を遠くに停め、人の多い屋台の近くまで歩いていき、たくさんの食べ物を注文してから、隅の方のテーブルを選んで座った。
島田香織は遠くの河岸で寄り添うカップルたちを見つめ、目に寂しさが浮かんだ。
……
藤原昭子は泣きながら帰宅した。藤原家のお嬢様である彼女は、今まで屈辱を受けたことなどなかった。
しかし、この二日間は一日が一年のように感じられた。島田香織にいじめられただけでなく、大好きな男性にも嫌われてしまった。