055 内戦

陣内美念はウェイボーのリンクを投稿し、興奮して続けて三つのメッセージを送った。

「香織、あなたは本当にすごいわ。あの女優なんてあなたの相手じゃないわ!」

「香織、あの嫌な女を許しちゃダメよ!」

「香織、私も明日現場に行きたい!」

島田香織はウェイボーを見た。そこには林嵐子が演技をまったく受け止められない様子が全て撮影されていて、最も「いいね」の多いコメントはこうだった。

「林嵐子の演技が下手すぎる。このシーンを午後いっぱいかけても撮り終わらなかった!」

島田香織が撮影している『スターロード』は一切映像が流出していないので、誰も彼女の演技力を知らなかった。

しかし、島田香織が白い衣装で冷たく恋敵と話すシーンが公開されると、誰もが彼女の卓越した演技に魅了され、皆が期待を胸に『侠客カップル』の公開を待ち望んでいた。それだけでなく、島田香織のコメント欄にもようやく好転の兆しが見えてきた。

島田香織は陣内美念に「いいね」と返信し、携帯を切って台本を読み続けた。主役は冷たい性格だが、純粋で世間知らずな様子を演じなければならず、これは彼女にとって大きな挑戦だった。

藤原グループの最上階。

藤原航はウェイボーで島田香織の演技を絶賛する動画を見て、満足げに口角を上げた。幸い彼が人を送り込んでいたおかげで、メイクルームで島田香織がいじめられた件を知ることができた。林嵐子はもう芸能界で生きていく気がないようだ。

藤原航はエンターテインメント部門に命令を下し、林嵐子を即座に芸能界から追放した。

藤原航はこれらの仕事を終え、夜に帰宅すると、藤原昭子がリビングで泣いているのを目にし、藤原おじいさんが陰鬱な表情で反対側に座っていた。

「おじいさん」彼はこんな事には関わりたくなかった。藤原航は挨拶を済ませて直接階段を上ろうとしたが、思いがけず藤原おじいさんが口を開いた。

「航」

藤原航は仕方なく立ち止まり、藤原おじいさんの方を振り向いて、剣のような眉をしかめた。

「島田香織は本当に度が過ぎている。今すぐ彼女を芸能界から追放しろ!」藤原おじいさんは冷たい表情で藤原航を見つめ、無表情で言った。

藤原おじいさんがそう言うのを聞いて、藤原昭子はすぐに涙を拭い、立ち上がって急いで言った。「お兄さん、私を助けて。島田香織が私をいじめたの!」