062 全ネット抵制

なんてこった!

久保誠也は思わず太ももを叩いて、痛みで眉をしかめた。以前の自分はバカだったのか?なぜ広告枠を設けてお金を稼がなかったんだ?

この世界の映画には一つも広告が入っていないのだから!

ああ、すごい損をしたな!

『スターロード』は予定通り十二月二十五日に公開された。この映画は藤原家のシネマだけでなく、スターキングシネマでも上映された。

スターキングシネマも全国チェーンだが、藤原家のシネマには及ばない。

スターキングシネマは『スターロード』だけを上映し、藤原家のシネマは上映枠の七割が『スターロード』だった。

もともと観客は『スターロード』にあまり良い印象を持っていなかった。主演の島田香織以外は無名の役者ばかりで、唯一有名なのは監督だけだった。

初日の『スターロード』の興行収入はわずか百万元ほどだった。

島田香織は冬から興行収入の結果を聞き、笑うだけで何も言わなかった。

冬は不安そうにスマートフォンを握りしめながら、「島田お嬢様、映画の質は間違いなく良いですから、ご心配なさらないでください」と慰めた。

島田香織はネットの評価を適当に見ていると、彼女を嘲笑する声が多く見られた!

「駄作、間違いなく駄作だ。百万元の興行収入?休日のうえ週末なのに初日でたった百万元?見なくても駄作だってわかる!」

「島田香織、消えろ。私たちは絶対に『スターロード』なんか見ない!」

「島田香織、お金儲けしたいんだろ?でも私たちは絶対に見ないからね!」

「そうだ、島田香織の映画なんか見るな。全ネットで島田香織の映画をボイコットしよう。このクソ女!」

「そうだ、島田香織をボイコットしよう。みんなで島田香織の映画を見ないように呼びかけよう!」

……

島田香織は次々と並ぶコメントを見て、スマートフォンの電源を切って脇に置き、撮影に戻った。

『侠客カップル』の撮影現場から追い出された林嵐子は、ネット全体で島田香織をボイコットする声を見て、唇の端をわずかに上げ、瞳に冷たい光を宿した。

島田香織がいなければ、自分が撮影現場から追い出されることなんてなかった。スポンサーまでこの件で怒っているのに!

幸い彼女は十分賢く、スポンサーの機嫌を取り戻すことができた。スポンサーは『戦神』の映画でのキャスティングを彼女のために争取すると約束してくれた。