075 天才少女

彼女の記憶が正しければ、残りは自分に関係ないはずだ!

ダウンジャケットを着直した島田香織は再び眠気を感じ、残りは自分に関係ないだろうと思った。

実は彼女もこんな時に眠りたくなかったが、昨夜は奈奈さんと冬に引っ張られて一晩中おしゃべりをしていた。主に二人が興奮しすぎて、彼女は一睡もできなかったのだ。

その後、久保誠也は予想通り最優秀監督賞を受賞した。

Z国の生中継カメラは島田香織と久保誠也に向けられ続け、今や香織の頭がニワトリのようにうなだれているのを見て、コメントが飛び交った。

「香織ちゃん本当に可愛い、寝顔も可愛い!」

「香織は眠れる森の美女みたい!」

「見て、周りの人たちも香織が寝そうなのに気付いてるよ」

「ハハハ、私の香織が国際的に恥をかいちゃった!」

……

コメント欄は賑やかで、みんなが島田香織の寝姿について話し合っているとき、一筋の光が彼女に当たった。

「どうしたの?なんで光が島田香織に当たってるの?」

「分からない、本当に不思議だね」

「香織ちゃんまた恥をかくんだ!」

「ハハハ、香織の寝ぼけた顔が見たい!」

……

島田香織は今回、久保誠也に起こされたのではなく、光が強すぎて目が覚めた。

彼女は落ち着いて周りを見渡し、最後に司会者に視線を向けた。

司会者は笑顔で英語で長々と話し、香織はそれを理解すると、さっと立ち上がってステージに向かった。

「どういうこと?島田香織どうしたの?」

「分からない、分からない、誰か司会者の言葉を通訳してくれる人いない?」

「司会者は『眠れる森の美女、最優秀オリジナル音楽賞を受け取りに来てください』と言ってるみたい」

「まさか?島田香織が一度に二つの賞を?」

「天才少女!」

「@藤原航 離婚させてくれてありがとう、@藤原昭子 頭おかしいんじゃない?あなたの家なんて、ふん、私の香織が欲しがるわけないわ!」

「@藤原昭子 バカ!」

「バカ+1」

……

島田香織が感謝の言葉を述べてステージを降りた時、生配信の視聴者たちはまだ衝撃から立ち直れていなかった。

香織は席に戻り、隣の久保誠也と話そうとした時、突然鼻がむずむずして、急いでティッシュを取り出した。

「ハックション!」

島田香織はくしゃみをし、目の周りと鼻が赤くなり、顔に不自然な赤みが浮かび、頭がぼんやりしていた。