奈奈さんがドアをノックして入ってきた。「島田お嬢様、お客様が皆いらっしゃいました。藤原さんもいらっしゃっています」
島田香織は鏡から視線を外し、奈奈さんの方を向いて、眉を少し上げて尋ねた。「彼女は何しに来たの?」
奈奈さんは首を振って言った。「藤原さんは、お会いしてからお話しすると仰っていました。下の待合室にご案内しました」
島田香織の表情に笑みが浮かび、ゆっくりとメイクを続けた。支度が終わると、唇の端を上げて言った。「行きましょう、まずは藤原さんに会いに」
藤原昭子が何を企んでいるのか、とても気になった。
今日のパーティーのため、島田香織はレストラン全館を貸し切っていた。パーティー会場は1階で、島田香織は16階にいた。
島田香織は奈奈さんと一緒に階段を下り、シルバーのハイヒールで待合室へと向かった。