079 謝罪?

奈奈さんがドアをノックして入ってきた。「島田お嬢様、お客様が皆いらっしゃいました。藤原さんもいらっしゃっています」

島田香織は鏡から視線を外し、奈奈さんの方を向いて、眉を少し上げて尋ねた。「彼女は何しに来たの?」

奈奈さんは首を振って言った。「藤原さんは、お会いしてからお話しすると仰っていました。下の待合室にご案内しました」

島田香織の表情に笑みが浮かび、ゆっくりとメイクを続けた。支度が終わると、唇の端を上げて言った。「行きましょう、まずは藤原さんに会いに」

藤原昭子が何を企んでいるのか、とても気になった。

今日のパーティーのため、島田香織はレストラン全館を貸し切っていた。パーティー会場は1階で、島田香織は16階にいた。

島田香織は奈奈さんと一緒に階段を下り、シルバーのハイヒールで待合室へと向かった。

待合室にて。

藤原昭子がここに来てから約20分が経っていた。彼女はイライラしながら携帯を見て、焦りながらドアを見つめていた。

彼女は、藤原家のお嬢様として、これまで人を待たせることはあっても、人を待つことなど一度もなかった。

藤原昭子は藤原おじいさんの言葉を思い出し、横に置いてあるバッグのギフトボックスを見た。今回は十分な誠意を示せたはずだと思った。

遠くから足音が聞こえてきて、彼女は急いで立ち上がった。入ってきたのは奈奈さんで、眉をひそめて「島田香織は?」と聞いた。

奈奈さんが少し横に寄ると、島田香織が優雅に入ってきた。

藤原昭子はドレス姿の島田香織を見て、一瞬言葉を失った。客観的に島田香織を見るのは初めてで、彼女がこんなにも美しいことに初めて気づいた。目が離せないほどの美しさだった。

「藤原さん、どんな風が吹いて?」島田香織は笑みを浮かべながら藤原昭子を見つめ、彼女が答える前に続けた。「もしかして、私の身分証を確認しに来たの?」

藤原昭子の顔が青ざめたり赤くなったりし、急いで横に置いてあったギフトボックスを島田香織に差し出し、ぎこちなく笑いながら言った。「島田さん、謝りに来ました。前は私が分別がなくて、どうか気にしないでください」