藤原昭子は黙って立ち上がり、横を向いて、不承不承に言った。「島田お嬢様、申し訳ありません。」
島田香織は藤原昭子に微笑みながら、優しく言った。「藤原さん、前回あなたが謝ってくれた時、私はもう許すことに決めていたんです。」
藤原昭子は再び島田香織を見つめた。彼女は島田香織がそんなに物分かりが良いとは信じられなかった。
「本来なら今日、一緒にアフタヌーンティーをご一緒しようと思っていたのですが、今となってはその機会もなさそうですね。」島田香織はにこやかに言いながら、藤原昭子の無関心な態度を見て、思わず彼女を引き裂きたい衝動に駆られた。
藤原昭子は島田香織を白眼で見た。やはり島田香織は自分を許すつもりなどないと分かっていた。
「あなたは心から謝っているわけではないので、許すことは神様にお任せしましょう!」島田香織は穏やかに言いながら、藤原おじいさんの顔を見つめた。「藤原おじいさん、私の言うことは正しいと思いませんか?」
藤原おじいさんは顔を青ざめさせた。お金のためでなければ、こんな屈辱は受けたくなかった。彼は声を荒げて叫んだ。「島田香織、お前は度が過ぎる!」
「度が過ぎる?私のどこが度を越えているのですか?」島田香織は困惑した表情で藤原おじいさんを見つめ、眉をひそめて反問した。「藤原おじいさん、私はあなたを目上の方として敬っているからこそ、丁寧に話しています。今、過ちを犯したのは藤原さんで、私たちは解決策を話し合っているのです。」
島田香織は藤原おじいさんの顔色が段々と暗くなっていくのを見て、わざと分からないふりをして尋ねた。「これが度が過ぎているというなら、藤原さんのしたことは一体何なのでしょうか?」
島田香織は藤原おじいさんの返事を待たずに、さらに問いかけた。「それとも、私が簡単に いじめられる存在だと思っているのですか?」
そう言うと、島田香織の笑顔は一瞬で凍りつき、瞳には冷たさだけが残った。
個室の雰囲気は一気に緊迫した。
島田香織と藤原おじいさんの間には、剣が交わされんばかりの緊張感が漂っていた。
横に座っていた藤原昭子はもう我慢できなかった。島田香織は大胆すぎる、おじいさんに逆らうなんて、本当に度が過ぎている!