194 私の邪魔をした

富田悠太は藤原航が漫画を読んでいるのを見て、イライラした表情でスマホを取り出してゲームを始めた。

夜型人間になっていたので、この時間でも眠くなかった。

しばらくすると、藤原航が寝てしまったのを見て、布団を掛けてあげた。

「香織...」

藤原航がぼんやりとした声で呼んだ。

富田悠太は布団を掛けていた手が一瞬止まり、少し諦めたように溜息をついた。

藤原航は本当に島田香織のことが好きなんだ。

藤原航とは親しい仲で、彼が藤原おじいさんに支配されていることもよく知っていた。

藤原航が十歳の時に藤原家に戻ってきたため、藤原家の人は今でも彼を家族として受け入れていない。たとえ今は藤原グループの社長になっていても。

当時、富田悠太は藤原航に結婚しないように忠告した。島田香織が嫁いでも、苦しい生活を送ることになるのが分かっていたからだ。