「陣内さんの言う通り、私たちは友達です」
陸田健児は陣内美念に向かって頷き、その後島田香織の方を見て言った。「友達同士なんだから、そんなに遠慮することないよ。片付けてくれたら、僕が荷物を持って行くから」
陸田健児はそう言うと、スーツケースを引いて外へ向かった。
恋人同士は皆、友達から始まるものだ。
陣内美念は陸田健児の去っていく背中を見つめながら、肘で島田香織を軽く突いて、ずる賢く笑った。「陸田健児って藤原航より良くない?」
島田香織は黙って目を回し、諦めたような表情で陣内美念を見て言った。「送ってもらうべきじゃなかったわ」
陣内美念と島田香織は幼なじみで、島田香織のその言葉を聞いて、陣内美念の顔から笑みが消え、島田香織が外へ向かうのを見て急いで追いかけた。
「香織」陣内美念は島田香織の横に並び、真剣な表情で彼女を見つめた。「本当に恋愛する気がないの?」