「何も知らないくせに!」藤原おじいさんはここまで話すと、怒りを抑えきれなくなった。「昨日、島田根治に電話したら、あいつは素っ気ない態度を取っていたのに、今日になって明確に承諾してきたんだ。しかも、我が藤原家の誠意を見たいとまで言ってきた」
「島田根治は結婚式を見たいんだろうと思うが、お前はどうしてまだ他人事のような態度なんだ?」藤原おじいさんは話せば話すほど腹が立ち、藤原航の首に刃物を突きつけたい衝動に駆られた。「お前が結婚するんだぞ。今、お前の義父が言い出したのに、まだ動じる様子もない。島田香織と結婚する気がないのか」
藤原航は本来、この件は林楠見に任せようと考えていた。なぜなら、この結婚式は島田香織の藤原家への復讐になるはずだと分かっていたからだ。
しかし、藤原おじいさんの言葉に藤原航は少し迷いを感じた。島田香織がわざわざ島田根治にこの件を話しに行ったということは、本当に彼と結婚したいと思っているのだろうか?