藤原航は駐車場まで歩き、車に乗り込むと、迷うことなく島田香織のアパートまで直行した。
実は彼はまだ島田香織に今後どうするつもりなのか聞きたかった。彼は彼女に全面的に協力するつもりだった。
しかし今、彼が恐れているのは、島田香織がもう藤原家への復讐をやめてしまうことだった。
なぜなら、富田悠太から島田香織が陸田健児と付き合っているらしいと聞いたからだ。
藤原航は心乱れながら古い携帯を取り出し、中のメッセージを一つ一つ読み返した。
ずっと片思いだと思っていたのに、好きな人も自分のことを好きだったなんて。
でも、それは全て新婚旅行の時に台無しになってしまった。
もしあの追っ手がいなければ、もし彼に島田香織を守る力があれば、今のような事態にはならなかったはずだ。
しかし、この世界に「もし」は存在しない。