315 添い寝サービス

島田香織は藤原昭子のことをあまり好ましく思っていなかったが、藤原昭子が告白する勇気を持っていたことについては、やはり感心していた。

陣内美念の鼻を鳴らす声が携帯から聞こえてきた。「そう考えると、藤原航も昭子のことをあまり大切にしていないわね」

島田香織は瞳の色が一瞬暗くなり、何も言わなかった。

そのとき、ドアベルが鳴った。

島田香織は電話を切り、ドアに向かって歩いていくと、陸田健児が玄関に立っており、その美しい涼しげな瞳が輝いていた。

「島田お嬢様、あなたの出前お食事相手が到着しました。受け取りをお願いします」と陸田健児は島田香織に笑顔で言った。

島田香織は少し躊躇したが、結局陸田健児を中に入れた。

陸田健児は六品の料理と一つのスープを持ってきており、手慣れた様子でテーブルに並べた。島田香織は手伝おうとしたが、陸田健児に手を洗うように促された。

実は島田香織は全く空腹ではなかったが、それでも各料理を少しずつ味見し、残りは全て陸田健児が食べた。

今は十時過ぎで食事を終えると、陸田健児は手際よく全ての物を片付け、顔を上げて島田香織を見つめ、笑いながら尋ねた。「島田お嬢様、添い寝サービスはいかがですか?」

島田香織は思わず笑って立ち上がり、「マンションを出て右に五百メートル行ったところに五つ星ホテルがあるわ。そこなら添い寝サービスを必要としている人がたくさんいるはずよ!」と言った。

陸田健児はそれを聞いても怒らず、口元を緩めて笑った。「将来、あなたに添い寝サービスを提供できることを願っています!」

島田香織は陸田健児を玄関まで送り、「帰り道気をつけてね、早く休んでください!」と言った。

「明日は何が食べたいですか?」陸田健児は島田香織に笑顔を向けて、「明朝の食事相手として、島田お嬢様にお仕えする栄誉を賜れますでしょうか?」

島田香織が断ろうとした時、陸田健児が「お粥と饅頭は?」と言った。

島田香織は陸田健児の笑みを含んだ涼しげな瞳と目が合い、思わず「いいわ」と答えた。

「おやすみなさい!」

「おやすみなさい!」

その後、島田香織はドアを閉め、家の中へ戻った。

陸田健児がマンションから出てきた時、自分の車の横に黒い乗用車が停まっているのが見えた。

ナンバープレートを見て、陸田健児は車の中に藤原航が座っているのを知った。