橋本月見は中島夏美の向かいに座り、面白い話を笑顔で語っていたが、途中で喉が渇き、冷たい飲み物を一口飲んでから、コップを元の場所に戻し、目を上げて中島夏美を見た。話を続けようとした時、中島夏美が全く自分の話を聞いていないことに気づいた。
橋本月見は元々短気な性格で、怒りで顔が真っ赤になった。彼女は必死に怒りを抑え、冷たい飲み物を大きく飲んで、やっと怒りを押さえ込んだ。
橋本月見は好奇心から中島夏美の視線の先を追い、藤原航を食い入るように見つめている中島夏美の姿を目にした。彼女は再び中島夏美を見て、その顔に浮かぶ笑みを見つめているうちに、突然閃くものがあり、理解した。
中島夏美は藤原航に惚れているに違いない!
橋本月見の頭は急速に回転した。
そのとき、中島夏美は立ち上がり、橋本月見に笑顔を向けて、優しく言った。「ちょっとトイレに行ってきます。」
橋本月見の返事を待たずに、中島夏美はバッグを持って藤原航の方へ歩き出した。
橋本月見は平然と席に座り、冷たい飲み物をゆっくりと飲んでいた。飲み物がなくなりかけているのを見て、店員に新しいものを注文した。
橋本月見は悠然と、藤原航の向かいに座る中島夏美を見つめていた。この間ずっと中島夏美に付き合っていたのは、橋本家のプロジェクトについて助言してもらいたかったからだ。
中島夏美は彼女の意図を理解していたようで、この二日間、まるで人間扱いしていなかった。
中島夏美が分際も知らずに島田香織から人を奪おうとするなら、静かに座って見物していればいい。それに、中島夏美が懲らしめられる場面を見たかった。
タイミングが悪くなければ、橋本月見は爆竹を買って中島夏美が叱られるのを祝いたいくらいだった。
中島夏美はベージュのニットワンピースを着ており、その服は彼女の整った体つきを余すところなく見せていた。胸元は深いVネックで、少し前かがみになるだけで、彼女が誇りにしている胸の谷間が垣間見えた。
「藤原さん、接待のお相手は必要ですか?」中島夏美は甘い笑顔を浮かべ、テーブルの下で赤いハイヒールを履いた足で藤原航の足を探し始めた。
しかし、中島夏美はしばらく探しても見つからなかった。
「誰だ、お前は?」藤原航は冷たい目つきで、不機嫌そうな表情で中島夏美を見た。