第38章 昨夜また兄貴と寝たの？！

早朝、工藤みやびは目を覚ましても、ドアを開けて外に出る勇気がなく、静かに外の様子を聞きながら、藤崎雪哉が出かけるのを待ってから出ようと思っていた。

藤崎雪哉はいつものように早起きし、岡崎謙が服と出張用のスーツケースを持ってくるのを待っていた。

岡崎謙は優雅で気品のある姿勢でコーヒーを飲んでいる男性を見て、尋ねた。「荒木さんも一緒に呼びませんか？」

藤崎雪哉は固く閉じられた部屋のドアをちらりと見て、「必要ない、彼女は今、私に会いたくないんだ」と言った。

岡崎謙は自分のBOSSの女性への接し方をあまり理解していなかった。以前、荒木雅が彼を追いかけていた時は、彼は彼女が自分を困らせると文句を言っていた。

今、荒木雅が彼を困らせなくなったら、今度は彼が彼女を困らせるようになった。これはなんと...変態的なことか。

藤崎雪哉は朝食を食べ、出発の時間になり、会社へ向かう準備をした。

道中、朝会の資料を見ながら、時々運転している岡崎謙に指示を出し、何気なく車窓の外を見ると、道端の花屋が開店しているのが目に入った。

「止まれ」

岡崎謙は急いで路肩に停車し、振り返って尋ねた。「社長、どうしましたか？」

藤崎雪哉は道端の花屋を見て言った。「人に謝るとき、どんな花が適切だろう？」

岡崎謙は不思議そうに彼を見て、自分が彼女に謝るときの経験から答えた。「黄色いバラかカサブランカがいいでしょう」

「買ってきてくれ、黄色いバラを」藤崎雪哉は言った。昨夜は確かに彼女を少し怖がらせてしまったようだ。

岡崎謙は車を降り、花屋で黄色いバラの花束を買い、戻ってくると、藤崎雪哉はすでに運転席に座っていた。

手を伸ばして花についていたカードを取り、自ら流麗な字で一行書き、花の中に戻した。

「君は会社についてこなくていい。花をマンションに届けてくれ」

岡崎謙は道端に立ち、黒いロールスロイスファントムが車の流れに紛れていくのを見送り、手の中の黄色いバラを見下ろして、しらゆりマンションに戻るためにタクシーを拾った。

うん、彼のBOSS様が生まれて初めて女の子に花を送ろうと思い立った。こんな重要な任務だから、もちろん彼はしっかりとやり遂げなければならない。

しらゆりマンション。