工藤みやびは入ってきた大谷媛を見て、あまり良くない記憶が脳裏によみがえった。
大谷媛は荒木雅の従姉にあたり、竹内家成の姉である竹内家純の娘で、幼い頃から負けず嫌いだった。
荒木雅は子供の頃、音楽とダンスの才能がとても良く、大谷媛と一緒にバレエを習っていた。
かつての重要なダンスコンテストで、荒木雅は優勝の可能性が十分にあったが、大谷媛はコンテスト前に荒木雅のバレエシューズに細工をし、荒木雅の足に重傷を負わせた。
そのコンテストで大谷媛は願い通り優勝し、それによって帝都バレエ団に入り、今日の栄光を手に入れた。
幼い頃から荒木雅が良いものを持っていると、彼女はそれを欲しがった。
もし与えなければ、彼女はそれを壊してしまうだろう。
彼女が手に入れられないなら、荒木雅にも持たせたくなかった。