工藤みやびは入ってきた大谷媛を見て、あまり良くない記憶が脳裏によみがえった。
大谷媛は荒木雅の従姉にあたり、竹内家成の姉である竹内家純の娘で、幼い頃から負けず嫌いだった。
荒木雅は子供の頃、音楽とダンスの才能がとても良く、大谷媛と一緒にバレエを習っていた。
かつての重要なダンスコンテストで、荒木雅は優勝の可能性が十分にあったが、大谷媛はコンテスト前に荒木雅のバレエシューズに細工をし、荒木雅の足に重傷を負わせた。
そのコンテストで大谷媛は願い通り優勝し、それによって帝都バレエ団に入り、今日の栄光を手に入れた。
幼い頃から荒木雅が良いものを持っていると、彼女はそれを欲しがった。
もし与えなければ、彼女はそれを壊してしまうだろう。
彼女が手に入れられないなら、荒木雅にも持たせたくなかった。
さらに、彼女は荒木雅の親友である小沢子晴の彼氏も奪った。
小沢子晴は悲しみのあまり海外に行き、すでに荒木雅と数ヶ月連絡が取れていない。
「私たちを教えるの?」工藤みやびは冷ややかに笑い、「あなたにその能力があるとは思えないけど?」
大谷媛は彼女の声を聞き、彼女が軽蔑的に笑うのを見て、「少なくとも、あなたを教える資格は十分にあるわ」と言った。
荒木雅は子供の頃確かに才能があったが、あの年に足を怪我してからは、もう真剣に学ぶことはなかった。
彼女は日本トップのバレエ団に入り、実力はとっくに彼女を圧倒している。
「荒木雅、納得いかないなら、媛さんと一戦してみたら?あなたもバレエを習ったことがあるでしょう」と中山里奈は言った。
しかし、彼女はよく知っていた。荒木雅がバレエを習ったのは数年前のことで、その後は民族舞踊に転向し、もうバレエは踊っていなかった。
大谷媛は高慢に工藤みやびとダンスクラスの生徒たちを一瞥した。
「こんなの比べるまでもないわ。プロがアマチュアに勝つなんて、言い出したら聞こえが悪いわ」
鈴木紀子は歯ぎしりして怒り、「雅はピアノを専攻しているのよ。ダンスなんかで比べるなんて、勇気があるなら優勝者のあなたがピアノで勝負してみたら?」と言った。
自分の得意分野で、相手の弱点と比べるなんて、本当に厚かましい。