第62章 これって告白だよな

夕食の後、藤崎千颯はまず藤崎お婆様を階上の車まで送った。

藤崎雪哉は仕事の電話に出るために書斎に入り、机の上に手つかずのままのプレゼントを見て、表情が少し寂しげになった。

電話を切った後、すぐにプレゼントを開け、中からルビーのネックレスを取り出した。

工藤みやびはキッチンで皿を洗っていると、突然頭上からネックレスが下ろされ、彼女が反応する間もなく、背後に立つ男性によって首に掛けられていた。

少女の白い玉のような肌が、ルビーをより一層鮮やかに輝かせていた。

「君が身につけるととても綺麗だよ。これは…今日の夕食のお礼だと思って。」

工藤みやびは下を向いて見ると、手を伸ばして外そうとしたが、藤崎雪哉に手を掴まれた。

「いらないわ。」

工藤家で育ち、贅沢な品々を見慣れていたので、もちろん一目でこの宝石の価値がわかった。

「これはベルディア王国の非常に希少な宝石なんだ。あそこの人々は、男性が愛する女性に出会ったら、このルビーを贈ると、愛する女性と白髪になるまで共に過ごせると言われている…」

藤崎雪哉の深い黒い瞳は今、隠しきれない愛情で溢れ、低く魅惑的な声は人を誘惑する魔性の音のようだった。

「……」工藤みやびはまばたきした。

これは…これは告白したってことよね。

彼女がどうやってネックレスを返そうかと必死に考えていたとき、藤崎雪哉は身を屈めて彼女の額にキスをした。

「私たちは先に帰るよ、早く休んで。」

「あ、ちょっと待って……」

工藤みやびがネックレスを外す間もなく、藤崎雪哉はすでに藤崎千颯を呼んで去ってしまった。

工藤みやびはネックレスを外し、人はもう行ってしまったが、手の中のルビーのネックレスを見つめ、目の奥に一筋の暗い影が過った。

ベルディア王国でこのルビーが豊富に産出される山岳地帯は、かつてある領主の領地だった。その領主は皇室の貴族に嫁ぐ予定だった令嬢を愛し、このルビーでその女性に求愛した。

最終的に領主は波乱を経て愛する女性と結婚し、二人は白髪になるまで共に過ごした。

そのため、ベルディア王国の名家や貴族はこのルビーを求愛の証とみなしている。

数年前、工藤司も彼女にルビーのネックレスを贈ったことがあった。

しかし、この愛を象徴するルビーも、彼らを愛し合い共に過ごさせることはできなかった。